コインランドリー その2

(ここまでのあらすじ)
主人公の「僕」は、自分の車が不調となり、洗濯機が壊れたことで、諸行無常を感じていたのだが、車を塀にこすってしまったことを契機として、開眼する。

さて、帰宅した後、洗濯物がそれなりにたまっているようだったので、コインランドリーに行って、洗濯してきてあげようと思った。

近所にコインランドリーがあるかどうかをインターネットで調べたところ、意外な事実が判明した。

「この町には、コインランドリーの機械を作っている工場はあるが、コインランドリーはない...」

ようやく隣町にあることを知り、車で向かう。すでに時計は夜の11時を過ぎていた。

ところでコインランドリーに行くのは何年ぶりだろう?

そう、あれば僕が入社して関西で一人暮らしをはじめた時分だった。
あれから15年は過ぎている....
ボケーッと座って洗濯機の振動を感じながら少年ジャンプを読む。
あの懐かしい雰囲気を体験できるのかなと思いながら乗りつけた。

そうしたら、マンガなんてどこにもなかった....

仕方がないので、

クルクル回る洗濯機をボーッと眺めながら、
この一週間に僕の周囲で個人的に起こったことについて、あれこれ思いをめぐらせていた。

そうこうしているウチに喉が渇いてくる。
何しろクーラーなんかない場所だ。
いまは乾燥機がグルグル廻っている。
内部気温は相当高いはずだ。

すぐ外に自動販売機があるので、買いにゆこうとした。
だが、恐ろしい忠告が自動扉に貼ってあるのに気づいた。
忠告
そこには、こう書いてある。
「当店は11:30分を過ぎますと、中からは出られますが、外からは入れなくなります」

200円投入したばかりなので、乾燥機の残時間はまだ15分もあった。

ウダルような暑さのコインランドリーの中で思った。

「おもしれーじゃねーか」

ただ、何が「おもしれー」のかが、自分でもよくわからないのだった。