なすりあい

めったに大河ドラマなど見ないのだが、おとといの「義経」は、いよいよクライマックスの「安宅の関」ということで、珍しく録画して見た。感想としては「タッキーは能面だなぁ~」なのだが、これはこれから語ることの本筋ではない。

あらすじはこうだ。主人公の義経は、兄頼朝との対立が決定的となってしまう。そこで奥州藤原氏を頼って、北陸道を落ちのびてゆく。いっぽう頼朝は各所に関所を設け、義経を捕縛せんとする。そこで弁慶など主従7人は山伏に身をやつして、北陸道を進んでゆく。

加賀国の安宅の関は頼朝の腹心である富樫泰家が司る。富樫はこの山伏一行に疑念を持つ。すでに「義経一行は山伏に変装している」という情報が鎌倉から来ているからだ。

いっぽう弁慶は「我々山伏がこうして北陸路を旅しているのは、戦火で焼失した東大寺再建のための勧進(まぁ、募金ですな)のためである」と主張する。富樫はそれならば勧進帳(募金の趣意書ですな)を読みあげてみろという。弁慶は機転をきかせて白紙の巻物を広げ、いかにもそれらしく読み上げる。

次いで富樫が山伏の一人(実は義経)が身分不相応な笛を持っていることに疑念を抱く、そのとたん弁慶は怒気を発して、その山伏を杖で殴るのだ...
「お前、また人様の笛を盗んだな!何度言ったらわかるのだ!」

実は富樫には彼らが義経一行だということが、とうにわかっている。
しかし、弁慶が主君を守るため必死に機転を利かせるさま、主君を泣く泣く殴ってまで、苦難を乗り越えようとする姿に、富樫は同情する。
そして彼らに関所を通過することを、許すのだ。

そう、7人の山伏たちの「嘘」は主君への至誠から生まれた嘘だった....そしてその嘘にシンパシーを抱くという武士道があった(この場面は歌舞伎の「勧進帳」、能の「安宅」、黒澤明の映画「虎の尾を踏む男たち(1945)」などで昔から日本人に愛されてきた)。

さて、今日の衆議院国土交通委員会。

数も同じ仲良し7人グループのうち、6人が(姉歯さんは「外に出るのが怖かった」ため欠席」)責任の「なすりあい」をやっていた。

誰を守るのでもない、守っているのは瑕疵のあるマンションを買わされた住民でもなければ、主君でもない、ただただ一人一人が自分を守っていた....それが嘘か本当かは別として、彼らの発言のひとつひとつが、一昨日の「安宅の関」とは対象的だなぁと思いながらカーラジオで聞いていた。

まぁとにかく、責任者が明確でないのに、国庫による補償で、国民が負担するということだけは、避けてほしいものだ。

それと....
「死人に口なし」「悪い奴ほどよく眠る」
なんてことにならないようにしてほしいものだ。

そうしないと弁慶の「飛び六法」で「デンデンデンデンデン」と怒るぞ!

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