もしクリスマスにアイスケーキを食べる場合は….

クリスマスイブに食卓に並ぶのはスポンジのケーキだけではありません。
アイスケーキもなかなかの人気があります。
全てがアイスクリームでできているケーキですね。

真冬にアイスというのも不思議に思われる方もいるかと思いますが、
冬は暖房がマックスなので、意外とアイスクリームの需要が高くなる季節なのです。

アイスクリームは基本的に適正な温度で保管されていれば賞味期限がない食品(厳密には厚生省令第52号「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(1951年)」で賞味期限記載の省略が許されている)なので、たとえクリスマス商戦で売れ残っていても、翌年まで保存が可能なわけです。

そんなアイスケーキが店頭で並んでいる場合、どうやって保冷しているのでしょう?
答えはドライアイスを入れて保冷しているわけです。業界用語では「ドライをかます」と言います。
発砲スチロールの保冷ケースの中におおよそ幅12cm長さ24cm厚さ2.2cmのドライアイスが入っていると思います。
一枚がちょうど1kgになります。

これって決して機械的に「ドライをかます」わけではありません。
年一回の商材のために、工場のラインにそういう装置を設置するわけにはゆかないので、手作業となります。
工場で生産されたアイスケーキはメーカー倉庫や卸店などの保冷庫で出荷を待つわけですが、12月24日の早朝に出荷される前に人海戦術でドライをかましてゆくわけです。
12月24日になったばかりの深夜、保冷倉庫の外側でおじちゃんやおばちゃんたちが眠い目をこすりながら、山のように並んだアイスケーキの入った発砲ケースを前にドライアイスをかましてゆく風景を想像して下さい。

管理人もかつて食品メーカーのアイスクリーム営業だった時代、12月24日の午前零時に卸店へと応援に行き、延々とドライをかました思い出があります。ご存じのようにドライアイスはマイナス79度ですから、素手などで触ると「低温やけど」をしてしまいます。
管理人も「瞬間的なら大丈夫だろう」と素手で触ったために低温やけどをしてしまったことがあり、いまだにその傷跡が残っています。ですから自宅にアイスケーキを持ち帰った際は、絶対にタオルを使ってドライアイスを取り除いて下さいね。

取り除いたドライアイスの楽しみ方としては、このように空となった発砲ケースに水を入れて、ドライアイスをぶくぶくさせるというのがあります。
ドライアイス
(空ケースに水を入れてドライアイスぶくぶく)

これはこれでクリスマスムードを高めるのですが、おっとどっこい、換気だけはくれぐれも注意して下さい。
ドライアイスが溶ける(昇華)する際には大量の二酸化炭素が発生します。そもそもドライアイスは二酸化炭素の固体ですからね。
最悪家族全員亡くなってしまう可能性があります。溶けたケーキを囲んだ状態で数日後に発見されたというのは怖すぎます。
アイスケーキ入刀
さて、自宅に持ち帰ったアイスケーキですが、ドライアイスをすぐに取り除いても、ガッチガチに凍っていると思います。即座に蝋燭をずぶりと立てて火をつけてワーイと入刀しても、そこから苦闘の数十分が始まるでしょう。

部屋の気温にもよりますが、すんなり刃が入るまではドライを取り除いてから30分~1時間程度放置しないといけません。
苦闘する管理人
(入刀に苦闘する管理人)

ですからアイスケーキを買った時点や、帰宅した時点ですぐにドライをとりのぞくのが効率がいいわけです。
やむなく管理人のように苦闘しなければならない場合ですが、包丁を熱して切るしかありません。
この場合ですが、ライターやガスコンロで包丁を熱するよりは、熱湯で温めたものを使う方がいいでしょう。
いま切ろうとしているアイスケーキは乳脂肪分などの固まりです。
ガスで熱した包丁だとたちまち包丁に炭化した脂肪がこびりついて、真っ黒な包丁が一本できあがるだけです。
この汚れは並大抵の方法では取れません。
熱湯で温め、切りつつまた温め、そして切ってゆくのがいいでしょう。
何度も包丁を温めたお湯にはアイスクリームが溶け込むわけですが、そこにコーヒーを入れて飲むと実に美味しいですよ。