高速バスも道を間違えるということ

ここ数日、自分の中で「熱いニュース」というのがありまして、
それは高速バスが道を間違えて山中で立ち往生したというもの。

現場は和歌山県の御坊市付近。
白浜アドベンチャーワールドからJR大阪駅へと向かう高速バスが、湯浅御坊道路の渋滞を回避するため御坊南インターから下道へと降りた。
高速は20kmの渋滞だったようだ。

素人考えでは左折して海側へと出て、国道42号で有田ICあたりまで進んだ方がまだマシだったんじゃないかと思う。
だけど、営業所は右折して山側へと進む事を運転手に指示した。
二つ先の川辺インターから再び高速に乗るというルートだったようだ。
「労多くて稼ぎが少ない」ルートだと思うけど、とにかくバスは山側へと進んだ。

時計はすでに19時半を過ぎていたようだ。
御坊市内はともかくとして、山側の日高川町付近は漆黒の闇だったろう。
バスは湯浅御坊道路の1kmほど東側にある県道193号を並走し、問題のY字路で道を誤った。


Google Mapでみる問題のY字路。道路は右方面に進むように見えるけど、正解は左。
Y字路の道路標識は読みにくいデザインで、しかも高速道路を示す表示はない。
ストリートビューではやや手前に「湯浅御坊道路」案内標識があるようだけど、どうも運転手はこれを見落としたようだ。

実際にストリートビューで右側に進んでみればわかる。

あれよあれよという間に狭くなる道幅。左はガードレールもない断崖。
運転手と乗客が感じた恐怖がリアルに体験できると思う。
それこそ「アドベンチャー・ワールド」の比ではなかったろう。

「高速バスが道を間違える」「高速バスが道に迷う」。
こういう報道があるまでは、そんなことあるんだろうか?と思う人もいたと思う。

でも、僕も実際にそれを経験したことがあるから本当に本当だ。

1988年の春休みのこと。友人と奈良へ旅行に行くのに夜行の高速バスを利用した。
静岡付近で事故渋滞か何かに巻き込まれ、下道を行くために裾野インターで降りた。
インターを出たバスが右折したのを覚えている。
あるいは国道469号で富士宮に出ようとしたのかもしれない。
ところが、ウトウトしかけてフト気づいたら、片側一車線のやや狭い道に停車している。
その時気づいたんだけど、どうも高速バスは2~3台で行動していたようで、僕の乗っていたのは先頭車だった。

ちょうど停車位置に深夜でも稼働している工場があって、運転手さんが警備員の人と交渉している所だった。
すぐに話がついたようで、警備員が工場の門を開けると、バスは敷地内に入って転回をはじめた。
2台目のバスもそれに続く。それでバスが道を間違えた事に気付いた。

再び裾野IC付近を通り過ぎたバスは、国道246に出て三島方面へと向かった。
その時「高速バスが道を間違えるなんて、こりゃあ貴重な経験をした」と思ったものだ。

P.S.和歌山県御坊市には客先があって営業で行っていました。気候は温暖で、人も暖かく、食事は美味しくて、忘れられない町です。
田辺や白浜方面に出張になる場合は、いつも御坊の「ビジネスホテル紀ノ國」に泊まったものです。

朝日新聞デジタル
高速バス、迂回路間違え山道へ 崖っぷち1キロ恐怖の夜」(2018/8/28/18:42)
毎日新聞
高速バス 道間違え、山道で立ち往生 和歌山」(2018/8/29/11:10)
YOMIURI ONLINE
高速バスが誤って山道に…道幅1台分、立ち往生」(2018/08/29/16:47)
MBS
高速バス道間違え、夜の山道で立ち往生 乗客が恐怖を語る」(2018/08/29/19/14)
スポーツ報知
高速バス、渋滞回避のはずが崖っぷち山道→ガリガリ走行で乗客悲鳴…和歌山・白浜―大阪間」(2018/8/30/6:13)