倉橋ヨエコ　青山冬のピアノナイトリィ「損と嘘は色々ライブ」

2007/2/25 日曜日

なんだかよくわからないけど、あれよあれよと言う間に家族4人でハマってしまっている倉橋ヨエコ。

「自宅六畳一間にグランドピアノと暮らす女」「昭和の捨て犬」「平成のシャバダ女」．．．捨てられた女のアヤシゲな妄想やアブナゲな情念がこもった歌詞の数々．．．．それは彼女の想像の産物なのか？はたまた．．．．．そんな気になる彼女のレコ発記念ライブに行ってきた（２月２１日にニューアルバム「色々」がリリースされている）。

名づけて"青山冬のピアノナイトリィ「損と嘘は色々ライブ」"。場所は青山のライブハウス「月見ル君想フ」。昼夜総入替の２部構成だ。長いインディーズ時代を経て、2005年にメジャーデビューしてからはシンセなどによってアレンジに音の厚みが増してきているが、今日はうってかわってグランドピアノ一台だけの弾き語りライブだ。家族全員で行っても\2.500＊４は安いっ！さらにタワレコで「色々」を予約購入したら、１部の入場券がついてきた。てんきゅっ！そこで「発見者」の妻が１部のライブも見て、その間は僕が青山の「こどもの城」でガキ．．．もとい娘たちを遊ばせておいて、夕方より全員で２部を見る、という段取りとなった。

「こどもの城」での出来事は省略する。次女は数日前に足に４針を縫う大怪我をしているにもかかわらず、はしゃぎまわっていたため、セーブさせるのが大変だった。

夕方「月見ル君想フ」前に集合。
我々が確保した席ははセンターからやや左より、前から２～３列目ぐらい。ヨエコさんの歌う横顔とピアノの指使いが見れる場所だった。これもすべて１部を見た妻の計算だった。

１８時を若干過ぎてヨエコさんが着物スタイルで登場。最近ボブに髪型を変えたのだが、結構可愛らしい。まずは「桜道」から始まる。最初の「春ですよ～」から体に電撃を受けたような感動が走った。初めてのリアルヨエコ体験の始まりだ。

個性的で力強いハイトーンボーカルは、ライブでも安定していた。それにピアノの腕が尋常じゃない。
彼女は武蔵野音大のピアノ科出身なんだけど、右手は装飾音を生み出しながら縦横無尽にかけまわり、左手はスウィングしながらリズムを刻んで行く。ピアノという楽器はそれ自体で完成されたアンサンブルを生み出すなんだけど、そのことを改めて思い知らされた演奏だった。手の動きを見られるのは恥ずかしいことなのかもしれないけれど、思わず息をのんでその手の動きに見入ってしまった。

レコ発ライブということで、１月２１日発売の先行マキシ「損と嘘」、２月２１日発売のアルバム「色々」から中心に曲は進んでゆく。合間に入るトークは「脅え系」の彼女だけあって決して饒舌ではないけれど、今日が今年初めてのライブだということや、自宅（六畳一間のアパート）のピアノの「レ」の鍵盤が、最近弾いても陥没して戻ってこない。だから今日は素晴らしいグランドピアノ（ヤマハ）を弾けて嬉しいというトークを交えてライブは進んでいった。中でも「ピアノが日本で最初に生産された明治時代、先人はきっと着物を弾きながらピアノを弾いていたんだろうなということに想いを馳せて、着物を着てきました。いつも前かがみでピアノを弾きながら声を出すのだけど、着物を着ると（帯で締められて）背筋がピンとなるんで、声がよく出る」なんて話が印象に残った。

セットリスト
第一部・第二部同じ
桜道（アルバム「色々」より）
はないちもんめ（収録はアルバム「東京ピアノ」だが、ネット限定「東京メゾピアノ」に近いバージョン）
薬箱（アルバム「色々」）
廃工場（アルバム「色々」）
涙で雪は穴だらけ（マキシ「損と嘘」）
白の世界（アルバム「色々」）
あいあい（アルバム「色々」）
流星（マキシ「損と嘘」バージョン）
損と嘘（マキシ「損と嘘」）
楯（ミニアルバム「お中元」バージョン）
（アンコール）
東京（アルバム「お中元」もしくは「東京ピアノ」）

ピアノだけのライブだったけど、逆に彼女の音楽の精粋（Cream）な部分が抽出されていたため、緊張感と感動が身近に伝わってくるライブだった。最後の「楯」なんか、背筋にゾクゾクゾクッときた。

ライブ後にピアノの譜面台に置いてある「セットリストらしきもの」を撮影しようとしたら、ライブハウスの方がご好意で、撮影しやすい場所に移して下さった。たちまちファンの人だかりができて、皆さんバシャバシャ撮影していた。

赤字はおそらくヨエコさんの直筆。ステージトークの段取りが書いてあった。