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河童橋クエスト
- 2010-08-22 (日)
- ぶうらぶら
ほら、よく「上高地」のポスターとかに河童橋の写真が写っているじゃないですか。
たとえば「上高地公式サイト」のトップページにあるようなうヤツです。
これって何気ない写真なんですが、実は物凄い課題をクリアしているんです。
1:河童橋の上が無人である。
2:梓川の河原が無人である。
3:穂高岳の山頂が雲ひとつない青空。
4:残雪が美しい。
5:橋が日陰になっていない。
という5つの条件が揃って、はじめて撮影できるんです。
こんな写真を1枚でもいいから撮影してみたいと野望を抱いて挑戦した記録をごらん下さい。

(2008年8月14日 午後13時10分の河童橋)

(2008年8月14日 午後16時13分の河童橋)

(2008年8月15日、午前6時3分の河童橋)

(2008年8月16日 午前5時14分の河童橋)

(2008年8月16日 午前7時55分の河童橋)

(2010年8月13日 午前5時58分の河童橋)

(2010年8月14日 午前5時42分の河童橋)

(2010年8月15日 午後16時26分の河童橋)
ぜってー無理だぁ!
あとは余談。
戦前に祖父が撮影した河童橋。


やっぱ無理だぁ~
大正池
- 2010-08-21 (土)
- ぶうらぶら
まあそんなわけで子供から開放されたので、カミさんと今年で72歳になる母親を連れて上高地へと行ってきた。
「何にもしない」つもりで行ったにもかかわらず、2日目には雨もやんだため大正池まで行ってみることにした。
2年前に西糸屋山荘から歩いて行った際は池に到着したとたんに豪雨となり、ほうほうのていでバスで引き返した経験がある。だから今回はバスで大正池まで行き、歩いて山荘へ戻ることにした。4km程度の道のりだから母にも無理なく歩ける距離だろう。

到着すると、さっそく池辺にシートを敷いて、西糸屋で買ったアップルパイを食べてボケーっとする。
清涼な空気と、水辺の風が心地よい。天国というものをまだ見たことはないけど、わざわざ雲上で蓮の台に座するつもりもない。
これで充分だ。
そうこうしていると、カモさんがやってきた。

どうもアップルパイを狙っているようで、目の前まできてウロウロしている。その距離はわずか1メートルもない。
最近上高地では動物が人間慣れしているとは聞いていたけど、お前もか。
生態系に影響を与えるのでここでは動物へのエサやりは禁止されているのだが、このカモは一向に立ち去る気配がない。
「ちょーだい」と言うでもなく、ただそばに居続けるという微妙な距離感を保っている。
だから無視して撮影を続ける。

そうこうしていると、何匹もコチラへ泳いでやってくる。たちまち我々はカモにとり囲まれてしまった。
さらに無視し続けると、諦めて周辺を泳ぎ始めた。
そうしたら今度は観光客のクソガキがカモの周辺に石を投げ出した。微妙に当たらないように投げているようだが、当たったらどうするんだと思い、注意をする。
カモなんて一番警戒心のありそうな動物が、こんなに人間の至近距離まで近づくことに驚いた。
動物の目の前で食事をすることもいずれ禁止になるだろうな、と。

空は曇っているけど、雨が降る様子はなさそうだ。しばらく3人で他愛のない話を続ける。
大正4年に焼岳の噴火で梓川がせき止められて誕生した大正池は、池の中から直立する立ち枯れた木が無数に直立している風景が有名だった。
だけど、時の流れとともにどんどん倒れてしまったようで、現在では枯れ木も数えるほどになってしまった。
さらに千丈沢から流れ込む土石によって、年々その面積を縮小しているという。

母に尋ねてみる。
「40年前に、ここに来たのを覚えている?」
「覚えてないわね~。お父さんは色々な所へ連れていってくれたからね。あなた覚えてるの?」
「いやぁ、さすがに覚えていないけど、親父が撮影したフィルムが残っているよ。お袋がサイケな服着てさぁ、俺と姉貴も映っているやつ」
「そうだったかしらねぇ」
「そうだったんだよ。親父以外は誰も覚えていないなんて、ひどい話だなぁ」
1時間ものんびりしてからようやく西糸屋山荘のある河童橋方面へと歩き始めた。
年寄りも一緒だと思ってゆっくり歩こうとするのだけど、母は一人でどんどんスタスタと行ってしまう。
あっという間に僕とカミさんより50mも先を歩いている。
あわてて僕が先頭に立ってペースを落とすようにする。
相変わらず健脚な母にホッとするとともに、相変わらずマイペースな人だなぁ、と思った。
途中でものんびりしながら、宿へは2時間ぐらいかけて帰った。
改めて昔の映像を見て気づいたことが二つある。

(昭和43[1968]年の大正池)

(平成22[2010]年の大正池)
やはり枯木の数が激減している。
そしてもうひとつは、僕と姉が石を投げて遊んでいる場所と、まさに同じ場所でアップルパイを食べていたということだ。
あとは大正池の余談。
大正池が年々土石の流入によって縮小しつつあるということを書いたけど、それを象徴する有名なモノとして「千丈沢の埋没看板」というのがある。
上高地のガイドブックやビジターセンターの資料展示でも案内されているシロモノだ。

-千丈沢の埋没看板(平成20(2008)年撮影)-
「千丈沢 看板」でググれば、この10年ぐらいの画像がある。
もともと昭和40年に建てられたこの看板には、当時おそらく「中部山岳国立公園」と書かれていたのではないかと思う。それがいつのまにかに「千丈沢」の解説看板となっていった。
プラスチックのボードがつけられ、こんな文章が記されていたようだ。
千丈沢
この沢は霞沢岳から押し出してくる岩屑によって、急峻な扇状地を形成しています。この扇状地には豪雨のたびに多量の岩石が供給され、大正池へどんどん前進しています。上高地にはこのような沢がいくつもあり、周囲の山から運び込まれる土石は膨大な量になります。
ところが年々土石の流出によって埋没を続け、2003年頃には、ほぼ柱の部分が完全に埋没してしまった。
そこで新たに看板を設け、次のように解説した。
砂礫の堆積
この「千丈沢」の解説板は、昭和40年に設置されたものですが、大量の土砂の流出によって、1m以上も埋まってしまっています。上高地にはこのような沢がいくつもあり、焼岳の中腹から上高地を見下ろすと、大量の砂礫の供給される様が良く分かります。
あまりにも埋まってしまったので、2005年ごろに一度掘り起こされているのだが、僕が撮影した2008年には上の画像のようにボロボロになっていた。プラスチックの解説板も壊れ果てていた。
そして今回行ってみたら、なんと看板そのものが消滅していた。周辺を血眼になって探したのだけど、看板の「か」の字も見当たらなかった。

その看板があったと思われる地点の横では「看板を解説するための看板」だけが今でもこのように虚しく解説を続けている。
上高地西糸屋山荘
- 2010-08-20 (金)
- ぶうらぶら
子供たちは8月のはじめから、僕の親父と一緒にアメリカへ行ってしまった。
サンフランシスコにいる姉家族のところへ2週間のホームステイ。
この日のためにずっと貯金してきたお金も飛行機とともにドドーンと飛んでいった。

僕はこの22年間というもの海外に行ったことがない。アメリカも行ったようで行ってないようなものだ。カミさんとの新婚旅行も「あってないようなもの」だったのだから、実にうらやましい話だ。
マジで楽しそうな子供たちにジェラシーを感じた。
でも僕には日本という恐ろしく風光明媚な国がある。
子供から開放された僕とカミさん、そして僕の母親の3人で長野県の上高地へ「山篭り」することにした。
僕とカミさんとは2年ぶり3回目、僕と母親とは実に40年ぶりの上高地となった。
宿泊したのは、

上高地帝国ホテル....というのは真っ赤なウソである。
上高地西糸屋山荘は河童橋から120mぐらいのところにある。今回で2度目の宿泊だった。
かつて冒険家の植村直己が居候していたのは有名な話。もともと山小屋から発展したからなのだろう。上高地の河童橋近辺ではもっとも宿泊料の安い宿だ。
どのぐらい安いかといえば、上高地帝国ホテルの半額もあれば、充分にお釣がくる。

時代の流れとともに、観光客相手の宿へと変化していったが、現在でもそうした登山客を相手にした格安の宿泊施設を併設している。
スタッフは気さくで対応もよい。アルイバイトの子たちが本当に山が好きで働いているのが伝わってくる。あんまりオーバーなサービスというのは好きじゃないので、気軽なノリの方がこちらもくつろげる。
部屋は和室8畳で、梓川に面している。最高でも22度の上高地では、涼しい空気が網戸から流れ込んでくる。

料理は本格的な日本料理と若干の西洋料理のミクスチャー。美味しくてその量も尋常じゃない。3人程度の宿泊の場合は、夕食を部屋まで運んでくれる。連泊の場合は毎日料理の内容が変化する。お風呂は自然の雪解け水を利用しており、サウナもある。
嬉しいのは談話室が併設していること。

山に関する書籍や映像資料などがどっさりあるのでボケーっと滞在するにはぜんぜん困らない。
売店で売っているアップルパイは自家製。まるごと4分の1のリンゴがぎっしり詰まっていて実に美味しい。
売店の横にはちょっとしたカフェがあって、コーヒーなどドリンク類が無料で提供されている。
梓川と白樺の林を眺めながら飲むコーヒーが美味しいんだ、これが。

上高地へ行くと決まった時から「ここでコーヒーを飲むのだ!」っていうイメージを頭に描きながら働いてきた。
お盆までに仕事をいくつか終わらせて、休みとなって、長野まで車を走らせて、沢渡まで行って車を駐車して、バスに乗って上高地へ行って、上高地のターミナルから歩いて、西糸屋山荘にチェックインして、一杯のコーヒーを飲む。
その一杯のコーヒーは自分にとっては、最高の贅沢で最高の幸せなんだと思う。
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