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ライブレポ(US関係)

高円寺の”Dark side of the road” (オチダトモ&Spiduction66 at 無力無善寺)

(前回の記事から続く)

高円寺駅の真東にあるStudio Kとは対照的、昭和の雰囲気がプンプン漂う駅の東のガード下に無力無善寺はある。

もともとここは59喉に教えてもらった。おそらく日本のライブハウスの中でも最も異形の空間かもしれない。最低のライブハウスかもしれない、あるいは最高のライブハウスかもしれない。
通常の出演であれば、2000円払えば誰でも出演できる。チャージ料も一緒だ。出演するのに条件はない。

無善寺のサイトには、以下のように書いてある(一部放送禁止用語省略)。

極楽往生したい人、俺はジョンレノンよりすぐれていると思っている人、ネコ好きな人犬も可、頭がおかしい人、寂しい人、無善法師のひどさに耐えられる人(本当にひどい)、有名になりたいと思っている人、たった1人のために歌いたいとおもっている人、ほめられなくともいい人(ほめません)、神、仏の救いを信じてる人恨んでいる人、やきとりで一杯が好きな人、臆病な人、愛がある人ない人、自殺を考えている人、死にたくない人、悩むだけ無駄な人、どんな悪人でも救われると思っている人、宇宙人に会いたい人....うちのねこ メリーチャンのえさ代のためにライブして お願い

自分が何らかの手段で「表現をしたい」と思ったら、それでいい。それが基本的な考え方らしい。
「さまよい歩く”音楽の生霊”が成仏できずに漂っている、そんな場所だ」と最近の記事で書いたけど、本当にそう思う。

店主の無善法師からして異形の人だ。
「時折発狂します、その場合は逃げて下さい、逃げて下さい。死ねば誰にも迷惑かけずにすむことはわかっていますが、臆病のため死にきれません」と、トイレに注意書きがあった。
本当の無善法師は、自分の人生が人生だけに、人の心の弱さがよくわかる、そういう意味において強く温かい人間である。

さて、この日(3週目の土曜日)は「即興の夕べ」というイベントがあった。
1500円払えば、誰でもフリーセッションに参加できる。曲てらバックにポエムを読んでもよし、奇声を発してもよし、ダンスをしてもよし....そもそもセッション自体にも規則などない、勝手気ままに自分のアドリブで好きなことをやっていいらしい。

18時30分、天下一品でラーメンを食べ終えた我々が無力無善寺に入ったら、まだお客さん(セッション参加者)はひとりもいなかった。店主の無善法師とは2年半ぶりの再会。
以前59喉と来たものですと言ったら、「おお、彼元気か」と覚えていてくれた。

オチダトモがソロで歌ってもいいか無善法師に尋ねると、「イベントの主催者(がいるらしい)もまだ来ていないから、今のウチに歌っちゃっていいよ。ただお客さんが来たら歌うのやめてね」と無善法師は言った。
「お客さんが来たらやめてね」。このセリフは芸の世界ではよく言われることだ。別に無善法師が嫌味で言っているわけではない。

こうして観客は僕と無善法師だけという、オチダトモの最初のライブハウスでのライブが始まった。

ところが彼が歌っている最中に1人、2人とお客さんが訪れはじめた。茨城から来た人、千葉から来た人、そして主催者の人....だけど無善法師は歌を中断しない。結局6人の前で4曲を歌いあげたオチダトモだった。
横須賀に比べると、かなりリラックスしていた。
後で彼に聞いたら、ここには大変歌いやすい雰囲気があるという。

お次に出演したのは主催者の人(お名前忘れた)。リズムボックスでパルス信号を流しながら、トラディショナルフォークをブルース風にして歌う人だった。この方のステージを見ているウチにオチダトモの表情が引きつってきているのがわかった。彼はその衝撃にノックアウトされていたのだ。

その後、更に4人がやってきて、合計10名となった。
フリーセッション大会が始まった。

無力無善寺のそれは通常の「セッション」とは違う。
それぞれの表現者が、セッションの規則にとらわれることもなく、相手のキーに合わせることもなく自分のイマジネーションのおもむくままに、自由気ままに様々な楽器を表現して重ねあわせてゆくのだ。

そんな中で、僕もキーボードでセッションに参加した。
(心臓の悪い方はご遠慮ください。かなり不快感を感じると思います)。

見ず知らずの他人同士が....しかも最後まで自己紹介する機会がなかった。
そんな他人同士が初対面で音を合わせ、いきなりこういう音楽が生まれた。
これが音楽のプリミティブな形だ。とても刺激になった。

セッションが中盤を迎えた頃、無善法師が「君、もう一度歌っていいよ」とオチダトモに声をかけた。
そして無善法師は「彼、今日が始めてのライブステージなんだって。皆さんよろしくね」と言ってくれた。
無善法師はオチダトモを気に入ってくれたのだと思う。

彼は雰囲気に躊躇していたが、思いなおしてギターを持って立ち上がると、ステージに上がって即興で作った歌を歌いだした。
3コードの単純なもので、歌詞は「今日も仕方なく生きてます。歌うことしかできることもない」みたいなものだったのだけど、歌詞はそこにいた観客の心をえぐった。一人のソプラノ・サックス(凄く上手い)プレイヤーの人が、「君の歌、心に突き刺さったよ」と言ってくれた。温かい拍手とともに、一瞬無善寺の空気が変わったのを、僕は感じた。

その後、いくつかのフリーセッションを行った後、オチダトモ(guitar)、僕(key)、ひとみちゃん(だったかな?...叫び声担当)、凄腕のドラマー、という物凄いフリーセッションが始まった。3コードのロックだった。オチダトモは叫び、僕は鍵盤を連打し、ドラムスはカッコいいビートを刻み、見ていた人たちが順番にステージに立って、自分の言いたいことを叫びまくり、無善寺は多いに盛り上がったのだった。
残念ながらこの映像は何も残っていない。
でもあの熱狂だけは、今でも余韻として残っている。

帰りの車の中で、オチダトモがボソリと言った、
「僕はあそこで場違いだったでしょうか?」
これが彼のユニークなところだと思った。
彼には、こんな風に自分の置かれている状況がよくつかめていない時がある。
いや、自分が認められた瞬間を、自分で否定しようとする時がある。
「君は、君の音楽と言葉で、無善寺の空気を変えたじゃん」。

僕は言った。

こうも思った。
オチダトモは、美辞麗句に飾られることのない自分の気持ち、それを音楽に乗せてストレートに伝えてくる。
それは無力無善寺に出演する全てのアーチストに同じことが言える。あまりにもそれが剥き出しになってしまうがゆえ、彼らな無力無善寺に集まって表現をするのだ。だから彼らはオチダトモの音楽に共感したのだ。

それと、音楽には「Bright Side」と「Dark Side」の両方が確かに存在する。
だけど本質的にはその根源には同じものがある。
それは「表現したい」という欲求に他ならない。
この気持ちになるべく応えてゆこうという気持ちは、僕も無善法師も一緒だ。

それにしても、
この11月は、何て濃いんだろうと思う。
生まれて初めて大ホールで歌い(ISO-KARA 2008)、
新しい音楽の仲間と出会い(The Pepperland)、
人生の中で最も好きなバンドのライブへ行き(The Who)、
初めてライブハウスで鍵盤を心おきなく心の赴くままに叩いた。
しかも音楽の陽と陰の両方を、たった一日で体験した。
それでようやく半月が過ぎたにすぎない。
そして23日はいよいよ最大のお祭り”Winter Live 2008″だ。

高円寺の”Bright side of the road” (夏目ひみか&Over* at Studio K)

先週の土曜日、Over*からライブのお誘いを受けた。
R&Bシンガー夏目ひみかとのツーマン・ライブで、会場は高円寺だという。

話を聞いた時、直感的に二つのことを思った。
これは夏目ひみかにとってもOver*にとってもとりわけ大切な意味を持つイベントだ。ということ。
もうひとつは、先週初めてStreet Liveを行ったばかりのオチダトモを誘ってみよう、ということ。
理由は色々あるのだけど、それは読んでいけばわかるだろう。ひとつ言えるのは、音楽の持つ「陽(bright Side)と陰(dark side)」その両方を、一日のうちに同じ高円寺という場所で見てやろうということだ。
とにかく我々は12時に教室を出発し、車で高円寺へと向かった。

夏目ひみかとOver*のツーマン・ライブの会場はSTUDIO K。環七と中央線ガードが交差する手前、セブン・イレブンの2階にあった。

ここはよく通る場所だけど、ここにライブ・スペースがあるとは知らなかったな。

会場は日中で、突然のライブだったにもかかわず、ヘヴィーな常連ファンがどっさり詰め掛けていた。
以前江古田で見た客層よりも、荻窪で見たそれに近い。年齢層は意外と幅広くて、僕よりも年上の人も何人かいた。そんな雰囲気と熱気の中で、真っ正面に陣取った。
Over*
初めてのツーマンライブということで、Over*だけの持ち時間で50分ある。可愛らしくて元気一杯の彼女たち、今までのYasu.T Legendはジョイント・ライブということもあり出番が20分程度だったので、今日は思いっきり堪能できそうだ。
Over*
ステージに出てきた彼女たちは、いささか緊張気味だった。
まだ舞台が暗転している段階で、お互いのマイクのシールドがからまったのを解こうとして、二人の頭がゴッツンして、
「いてっ!」。
これには大笑いした。絶妙な二人のコンビネーションが作り出すハプニングなんだろう。これでずっとリラックスしたんじゃないだろうか。「明日に続く空」「希望の花」で始まったステージはMy Little Loverの曲をはさみながら続いていった。かわいらしいハーモニーも今日は一段と映えていた。

これだけの時間があると、Over*の良さがよく理解できる。彼女たちの一番の魅力は「近所の女の子」的な親しみやすさ。そんな二人が全力でお客さんに楽しんでもらおうとするひたむきさだ。そして「動」のさりーと「静」のゆかという二人の持つ個性がいいコントラストを出している。
Over*
中間ではこんな風に椅子に座ってラジオDJ風のコントもくり広げられた。

そしてそのまま椅子に座って歌われたのが、「心の種」。何とゆかが作詞、さりーが作曲したOver*初のオリジナル曲だ。

初のオリジナルということで、シンプルなコード進行だけど、とても印象に残る佳曲に仕上がっていると思う。それと歌詞にも楽曲にもOver*のピュアな部分がよく出ていると思った。

お次は夏目ひみか。

先週は新宿コマの「さよならコマ劇場」で4人のバックダンサーを従えて歌ってきたばかり。タワレコのインディーズ・チャートで5位を記録した「Peaceful World」の収録曲を中心に歌ってくれた。

ステージに立つと圧倒的なオーラを発している彼女、ジャクソン5時代のマイケルジャクソンを髣髴させるボーカルスタイルで、圧倒的なパワーを見せつけてくれた。
「too Bad」ではOver*の二人もステージに上がって、ダンサーと一緒に踊ってくれた。
そして....絶対やるだろうと思っていたし、生で見てみたいと楽しみにしていたのが、夏目ひみか with Over*によって歌われた「Take off chance」。この3人のコラボは本当に可愛らしくて素敵だった。

お客さんを楽しませること、それを本当に考えているこの3人、その気持ちがストレートに伝わってきた。

あわただしい撤収の後、常連のファンに囲まれた3人。
皆で記念写真を撮影しまくっている。
そこには僕たちが中々入り込めない濃い空気が流れていた。

でも、後でさりーから、やって来た僕の顔を見て、緊張がちょっと解けましたというメッセージを貰った。
うう....嬉しいことを言ってくれるじゃないか。可愛い奴....

ひみかがロビーでファンに向かって、
「これからみんなでディズニーランド行こうよ!夕方からだから安いよ!」なんて言っている。

おお、みんなで行って楽しんでおいで。
僕とオチダトモはこれから、怪奇ワンダーランドへ行ってくるから。

オチダ喉の横須賀中央駅前Street Live

自宅の窓から見える霧雨に心配していたが、どうもやるようだ。
そこで車に飛び乗って、横須賀中央へむかう。
横須賀の街は曇空ですんだ。

さてオチダトモ。
とても不思議な奴。
でも「不思議」というのは決して「理解できない」という意味じゃない。
むしろ「Wondrous」というニュアンスに近い。

普段の彼は寡黙でおとなしい、
しょっちゅうネガティブになろうとする。
だけど、自分の音楽を作り出すとき、
それは鉄の意志を伴って流れてくる。
絶対に譲らない何か強い意志を働かせる。

耳がいい。
とても器用に曲を作る。そして器用な曲を作る。
複雑なコード進行が、曲のあちらこちらに散らばっている。
また良いメロディラインを持っている。
今は弾き語りの形なので、なかなか気付かれにくいけれど、彼の曲にしっかりとしたアレンジワークをほどこしたら、ポップでキャッチーな曲が、ゴロゴロしているだろう。
幼少期から彼の体に親しんできたThe BeatlesやさまざまなPOP Musicが熟成されて、体の内から飛び出そうとしている。そんな男だ。

その彼が59喉のサポートをを得て、初のStreetを行うという。しかも一日のうちに横須賀中央と横浜で行うという。
名づけて「オチダ喉」。
心より59喉に感謝したい。

イマージュのイベントを抜かせば、喉の「Street Live」はかなり御無沙汰だし、この二人のコラボは見たい。
だから横須賀へと向かった。
現地にはhitomiセンセ、マサトシさん、さぉ、こじ、たづが応援に来ていた。喉ファンのN氏も来ていた。

そんな中でライブが始まった。
オチダトモは雑踏の中で明らかに緊張していた。

声の裏返り方でそれがわかった。だけど面白いことに、中途に挟んだ「Postman」と「All My Loving」の方がまだ安定していた。どうもオリジナルとなると、その度合いが高くなるようだ。
「もっと自信を持てよ」と言っても意味はない。そんなことは神様しか言えない。これだけは経験が解決してくれるだろう。

お次は喉。

アグレッシヴな喉は健在。ありとあらゆるものをブチまけて、絶対にそれを拾わずに去ってゆく。
Streetの立地をみて「やるんじゃないか」と密かに期待していたら、やっぱりやってくれた。

それにしても彼の音楽の面白いところは、カメラマンを同じ感性にしてしまうところ。いや正確には「僕」や「あなた」という個々の人間が持っているアンダーグラウンドな部分が、彼の音楽に接すると、引き出されてくるのだ。

だからこの風景は、僕の目に「十字路(Crossroad)で悪魔に祈りを捧げる男」に見えた。
なお「まちぼうけ」は、場所が場所だけに完全に僕のツボにはまってしまった。だからカメラを持つ手が震えているのがわかる。

話は変わるが、彼はこういう笑いもとってくれる。現在、Youtubeで「59喉」でググると 「喉のことでお悩みなら」という広告が表示されるが、これですら僕にはツボになってしまう。

この後、オチダ喉一行は横浜へと向かった。僕とマサトシさんは相模屋で焼き鳥を食べる。21時からイマージュISOGOの実行委員会があるので、お土産に買って行くことにしよう。

さて、人間はどこでどう機会が生まれるかはわからない。
実は11月15日(土)にあの可愛らしいOver*夏目ひみかのツーマンライブが行われる。場所は高円寺。

【夏目ひみか&Over*ツーマンライブ】
OPEN :14:00 START:14:30 チケット:前売り¥2500(D別)当日¥3000(D別)
場所■SUTUDIO-K 03-3311-6635 ■住所:東京都杉並区高円寺南4-39-17

以前、教室でOver*がひみかとコラボして歌っている珍しい映像を見せてもらったけど、それがとってもカッコ良かった。一度は生で見てみたいと思っていた。また、現在オチダトモ→Over*楽曲提供の話もあるので(二人とも楽曲を気に入っているが、アレンジワーク面の話が進まない)、これを機会に彼を連れてゆこうと思った。

そして高円寺と言えば無力無善寺だ。70年代のアンダーグラウンド的な雰囲気がプンプンしている小さなライブスペース。さまよい歩く「音楽の生霊」が成仏できずに漂っている、そんな場所だ。ライトなポップミュージックと、アンダーグラウンドミュージックという対極にある二つ音楽、これが同じ日に楽しめるのならば、人間として本望だ。

Streetの後でオチダトモを誘ったら「ぜひ!」ということだった。それで帰宅後無力無善寺の15日のスケジュールを確認したら、次のようになっていたので驚いた。

【無力無善寺 即興の夕べ】
みんなでセッションします。女性ダンサー無料だよ
op 6:30 / st 7:00  女性1ドリンク付1,000円 男性1ドリンク付1,500円
老若男女問わずのライブをしています 、出演者募集中 気楽にどうぞ 予約なくても当日くればできます 音楽 ダンス ポエムなど。

オチダトモ、これが「引き寄せ」ってヤツじゃないだろうか?
とりあえずギターを持ってゆけ!

そうだ、歌え!

対極のMagical Music Tourに行きたい人は、11月15日の12時に教室に集合だ。

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