乾板写真を再現してみる

昨年5月に亡くなった祖母の遺品の中から、
こんなものが出てきた。

封筒に入った割れたガラスの破片、そこにはうっすらと女性の姿が写っていた。
これは「ガラス乾板」といわれるものだ。19世紀のしろもので、写真のネガフィルムに相当する。現物に触れるのはこれが初めてだった。

封筒には祖母の字で「五一の母、まさ。元型こはれた(注:壊れた)ままです」と書いてあった。「五一」というのは僕の祖父だから、これは曾祖母の若い頃の写真、ということになる。この人は戦前に亡くなっているから、僕は会ったこともないし、「まさ」という名前すら知らなかった。

そこでスキャナを使って曾祖母の姿を再現できるかどうか挑戦してみることにした。

ちょっと乱暴な扱いかもしれないけど、乾板のツルツルしている面をガラスマジックリンで拭いて汚れを落とす。スキャナの上に割れたピースをつなぎあわせて並べてみる。
僕のスキャナ(Canon8600F)では「ネガスキャン」を行ってもガラス乾板を認識してくれなかった。だから普通に「写真スキャン」を行ってみた。

写真でいう「ネガ」をスキャンしているのだから、当然顔は真っ黒。
この画像の白黒を、画像処理ソフト(僕はPhotoshopを使ったが、別にフリーソフトでも構わない)を使って反転してみる。
するとあら不思議。

驚くほどくっきりと曾祖母の顔が浮かび上がった。

そうか、こんな人だったんだ.....


祖父が生まれたのは明治33(1900)年ごろだと聞いている。
乾板写真がフィルム写真にとってかわられたのも、同じ頃だという。

宮城県の柳津という田舎の在だった曾祖母。
19世紀のある日、仙台でもに行った時に、写真館で撮影したのだろう。