何か困っていることは

2011/3/25 金曜日

毎回レッスンのたびに手作りの美味しいパンなどを作ってきてくれるAさんという生徒さんがいる。
そのAさんが、火曜日にこんな話をしてくれた。

Aさんのマンションの下の階に住むご家族、今回の地震で被災した親戚が避難してきているそうで、物凄い大所帯になっているのだという。

食べ物の確保も大変だろうと思い、Aさんは手作りのパンを持って届けることにした。
そうしたらマンションの廊下で、お隣に住む子供さんとすれ違った。
その時に、子供さんがパンをチラッと見て、一瞬「物欲しげな表情」をしたのだという。

その表情がAさんはなんだか忘れられなかった。
お隣は子供が3人いるはずだ。もしかして困っているのかもしれない。
そう思ったAさんは、結局もう一斤あったパンをお隣に届けた。

そうしたらお隣の奥さんに泣いてお礼を言われたのだという。

聞けば今は旦那さんと別居中。
毎日仕事で東京まで通勤しているため、子供の食料を調達するためにスーパーに並ぶ時間もない。
家に帰る時間にはスーパーも閉まっているか、売れ残ったものしかない。
毎日、とりあえずコンビニなどで入手できたお菓子とかカップヌードルとかインスタントラーメンとか、そういうものを1日3食与えて凌いでいたのだという。

だからAさんの一斤のパンは涙の出るぐらい助かる支援物資だったのだという。

いま我々は被災地の苦境に目を向けてしまう。
そして「いまできること」の狭さに苛立たしさを感じている。何かお手伝いできることがないかと模索し、何もできない自分に無力感を感じたり、募金箱へお金を入れることしかできない自分に空しさを感じたりしている。現地入りしてボランティア活動できないか?何とか物資を届ける方法はないか?そういうことを考えている人もいると思う。

いっぽうで集団パニックによる買いだめ......「家族を守るため」というお題目を唱えたり「仕方がないんですよね~」という懺悔をコンビニのレジのお姉さんにしながら(目撃談)の買いだめが続いている(今週になってやや沈静化したか?)
米を70kgも買っている人がいた、サランラップを30ロール買っている人がいた...という強烈な目撃談も生徒さんから沢山聞いた。
あさま山荘にでも篭城するつもりなんだろうか?
でも明日になればミネラルウォーター何十リットルも買いだめする人がいるのだろう。ミネラルウォーターで食器を洗う人まで出てくるに違いない。ミネラルウォーターがもし切れたら死を覚悟するんだろうか?

我々は地震が起きた直後、お互いに「ご無事でしたか?」と挨拶しあった。
「いまできること」がもしあるとしたら、それは隣人同士で「何か困っていることはないですか?」と尋ねあうことなんじゃないだろうか?

エラそうで申し訳ないけど….