十三参り in 法輪寺 次女編

二年前に長女の「十三参り」をしたと思ったら、今度は次女の番になってしまった。

「十三参り」については前回の記事にも書いたけどウィキペディアにはこうある。
十三参り」....ウィキペディアにはこうある。

十三参り(じゅうさん まいり)は、旧暦の3月13日(現在では月遅れで新暦の4月13日)の間、数え年13歳に成った少年少女が元服を迎え大人と成ったことに感謝して、これから先の万物の福徳と英知を授かるために、虚空蔵菩薩(こくぞうぼさつ)に参詣する行事。

つまり「十三参り」は、十三歳が成人式だった時代の名残だというわけだ。
関西、特に京都ではこの風習が盛んだ。成人式の着物を子供たちが肩上げ裾上げして、嵐山の法綸寺にお参りする。数え年で13歳と書いてあるけど、だいたい小学校を卒業した春休みから初夏の季節に行うことが多いようだ。我々も本来ならば3月末の春休みに行う予定だったのだけど、今回は大震災の直後ということもあり、1ヶ月延期して京都へ赴いた。

5月3日。まずは妙心寺道にあるオークヘアさんへ。
このお店、ヘアメイクと着付けを全部してくれるのと、写真撮影がセットになっているのと、2年前も長女が夜まで全然着崩れしなかったので、今回もお願いすることにした。

その間、手持ち無沙汰な僕と長女は近くにある妙心寺へ。大方丈を参拝する。

京都に住んでいた頃、ここには娘を連れて何度か自転車で行ったことがある。
今回は「十三参り」ということで、僕はスーツ、長女は中学校の制服を着て行ったのだけど、まさか制服姿の長女と来るとは思わなかった。
そんな「十三参り」を5月に延期したことは、思わぬ結果を巻き起こした。
長女が今月の末に修学旅行で京都へ来ることになっていることをすっかり忘れていたのだ。
同じ月に2度京都へ行くという、なんだかよくわからないことになってしまった。
(ただしその際は私服で行くことになっているそうなので、今回の方がよっぽどそれらしい写真となった)。

(妙心寺の明智風呂。重要文化財のお風呂。今で言うサウナに近いです。明智光秀の遺産によって建てられ、後に極秘に光秀の法要を営んだと言われています)
大方丈を観た後、さあ塔頭の退蔵院へ行こうとした矢先に電話がかかってきて、着付けが終了したとのこと。急いでオークヘアへ戻る。
そこにはカミさんの成人式の時の着物を着て、髪を整え、お化粧までしている次女がいた。

(西陣の松本写真館にて)
たまらんなぁ~これは。
早生まれのせいか、いまだに小学生にしか見えない次女が。すっかりオトナびて見える。
「いやぁ二十歳の成人式で、路上で飲んだくれて大暴れしたり、市長に"ハゲ!"とか言うようになったらおしまいだよ。やっぱり子供は十三参りに限るよなぁ」と次女に言うと、「そんなことするわけないじゃん」と呆れられた。

(大徳寺大仙院にて)
そんな風にして写真館で記念写真を撮影したり、大徳寺の境内で写真を撮影したりして、いよいよ嵐山の法輪寺へ。
最初はそろそろ歩きだったのが、この頃には着物にも慣れてきたようで、スタスタ歩いている。これもまたオトナへの階段なんだろうな、と思う。
法輪寺もすでに十三参りのピークは過ぎたのか、お参りをする十三歳の子供たちが10人程度。2年前(3月)には30分待ちだったのがウソのようだ。

まずは好きな漢字をひと文字書く。この文字が娘に代わって一年間祈祷される。
将来マンガ家を目指す次女はすでにそのひと文字を決めていた。

左利きのアヤシゲな筆遣いで彼女が書いたのは「描」。「猫」じゃなくて「描」。知恵や芸事の神様へのお願いとしてはなかなか良い字だ。
そして、本堂でご住職の説法と祈祷を受けた。
昔は十三歳が成人式だったこと。ご本尊の「こくぞうさん(虚空蔵菩薩)」から知恵を授かること。ここまで育ててくれた親に感謝するいい機会であること。明日から気持ちを新たにして大人への一歩一歩を踏みしめてゆくこと......

(法輪寺にて)

そんな風にしてひとつひとつの言葉をかみしめているのかいないのかよくわからないけど、凛とした顔で神妙に話を聞く次女だった。

特にご住職からは説明はないのだけど、この後に子供たちには行わなければならないひとつのルールがある。法輪寺を出て嵐山の渡月橋までの数百メートルを、絶対に振り向かずに歩くのだ。ここで振り向くと「授かった知恵が去る」と言われている。

雑念にとらわれずに自分の路を進む。そんな試練を子供たちは自分に課すというわけだ。

そんな雑念のひとつはこの親父だったりする。何度も後ろから呼びかけて邪魔をしてみる。
それにとらわれずに渡月橋を渡りきった次女は。そこではじめてニタッと笑ったのだった。

(最近は関東でも次第に「十三参り」が広がりつつあるようです。特に「何処」という定めはないようですが、京都風に考えるのならば「虚空蔵菩薩」さんのいるお寺ということになるんじゃないかと思います。)