ハマ歌Show収録記

月曜日はtvk(テレビ神奈川)「ハマ歌Show」の公開収録。収録会場はワールドポーターズ前にあるナビオス横浜。
「ハマ歌Show」は地域密着型の音楽番組だ。区ごとに地域の商店街を紹介しながら、地元イチオシの一般参加者によるカラオケ・コンクールが行われる。
今回ご縁があって、ちえみちゃんとよっちゃんがそれぞれ南区大会と港南区大会で出場させて頂くことになった。
番組そのものは、演歌一色。最初は若い二人がここでJ-POPを歌うことの違和感に躊躇した。だけどそもそも「何でもアリ」の精神は「いそカラ」「ひまカラ」につながる所がある。「ひまカラ」でも歴戦のツワモノの方々の歌唱を見てきたため、入賞は難しいかもしれないけれど、二人にとって、とてもいい経験になるだろうと思った。何よりもこの二人の歌によって番組に新しい風を吹かせることができるかもしれないと思った。
そんなこと私が考えることじゃないけど。

ナビオス横浜は凱旋門みたいな形をしたホテルだ。ぜんぜん知らなかったのだけど、このホテルは昔でいう「船員会館」なんだそうだ。世界各国から来る船人たちが、船旅の疲れを癒す場所。朝の時間帯など、ごっつぃ船乗りたちがチェックアウトする姿が見受けられるらしい。
我々も「ミューズポート」に「音楽の港」のような意味を持たせている。こいつは幸先がいいぞと、そんなことを考えていた。

(本番では撮影が難しいと思い、リハーサルを撮影。ちぇみちゃん)

12時からまずは南区大会の収録が始まった。
駆けつけてくれたのは、Emiセンセ、JUNYA君、そして「ひまカラ」でも御世話になった港南中央RondoのAkikoさん。あと、ちえみちゃんのお母さんとおばあちゃんが来てくださった。
司会はアダモちゃんこと島崎俊郎さんと、演歌歌手の山口かおるさん。
島崎さんとは名前が同じということもあって(もっとも、僕の場合は"しゅんろう"と読む)、高校生の頃から親しみを感じていたのだけど、まさか生で拝見することになるとは思わなかった。

参加されている皆さんは、カラオケ大会歴戦のツワモノばかり。こうした方々の活躍は「ひまカラ」でも感じていたけど、改めてそのレベルが高さに驚いた。様々なカラオケ大会に出場しているため場慣れしてらっしゃる方も多いし、テクニックもある方ばかり。晴れ舞台のために最高の衣装を身にまとっている。それだけでも気迫を感じた。

(収録中断のタイミングで撮影)
それと凄いと思ったのが島崎俊郎さんの司会。言葉というものが淀むことなく濁ることなくスラスラっと出てくる。時には笑いを取り、時にはしんみりさせる。それ自体が芸術だった。1月のNHK BS「熱中スタジアム」の時も、2時間ノンストップ通産4時間の収録の中で淀むことのなく司会をこなしてゆく中田敦彦さんに仰天したけど、さすがは芸歴30年以上の大ベテランだけある。素人からみれば神業の領域だった。そう、「プロ」というものの定義をひとつするならば、「常に(一般人から見れば)神業を繰り出す人」ということは言えるだろう。

そして8番目にちえみちゃんの出番だ。Emiさんの合図で「ちえみ~」と声援を送る。彼女が歌い始める。
手から汗がじんわりと出る。おそらく彼女以上に緊張していたのが、我々だったことは間違いない。見事に歌い終えてホッとした。

歌唱が終わったら、島崎さんに「今、声援を送ってくれたのは、お友達?」と指さされた。
「そうです」というわけではないので、「彼女のボーカルスクールの校長です。こちらは生徒さんと先生です」と答えた。
「へーそうなんだ、さすがはボイストレーニングをやっているだけあるね」みたいな言葉を頂いたと思う。多分カットされるとは思うけど。

島崎さんとちえみとのやりとりでは、ちえみが泣けることを言った。するとEmiセンセが本当に泣いてしまった。

(同じくよっちゃん)
ここから先は「推薦曲」の収録。サブゲストともいう方々の歌唱コーナーだ。このコーナーも見たかったけど、僕はちえみの歌唱で緊張がピークに達していた。気持ちを落ち着かせるため1Fの喫煙所へ降りていった。「熱中スタジアム」の撮影の時とは全く違う状況に陥っていた。

そして驚いた。ゲスト歌唱中は休憩時間がとれる島崎さんが一人でいらっしゃったのだ。
「うぉっ!どうもお疲れさまです」
「ボーカルスクールの方でしたね」みたいなやりとりから、改めてご挨拶申し上げた。
僕は、読みが違うけど名前が一緒であること。同じ名前の有名人が出ると、普通人間ってものは共感するか反発するかのどちらかなんですが、島崎さんは高校生の頃から共感を感じる方だったこと。それはヒップアップ時代のネタでもアダモちゃんネタでも、自分のツボだったからです、というお話を申し上げた。
それと自分の身内しか知らないとっておきのクレイジーキャッツネタ(島崎さんがクレイジーキャッツの付き人からキャリアを始めたのは有名な話)もお話した。そんなところから次第に音楽の話となっていった。

実は会場に行くまでの車中で、ちえみとよっちゃんに話したことがある。
「司会の島崎さんのことは、僕が高校生の頃の"ヒップアップ"時代から知っているけど、あの頃はアコーステイックの弾き語りしながらコントをやっていたんだよ。今でもバンド活動をしたり作曲活動をしているのは有名な話だよ。とても音楽性のある方だから、必ず君たちの音楽を理解してくれるよ」。

そんな島崎さんのお話は大変面白かった。
井上陽水と吉田拓郎が大好きで、特に「氷の世界」は擦り切れる程聞き込んだという話。拓郎の「人間なんて」のパロディで「定年なんて」を作った話(実際に歌って下さった)。今でも特定の曜日は音楽活動のために空けるようにして、月4日は必ず音楽だけを考えるようにしていること。そうやって集中することで、自分の音楽に対するモチベーションを維持していること。そして「一日歌い続けると気分がスッキリするね!」とおっしゃっていた(後で島崎さんの公式サイトのひとつ「アダモちゃんねる」を拝見したら、島崎さんと音楽の話がいろいろ掲載されていた。喫煙所で伺った話ともダブっているので興味があれば、読んでみて下さい)。

島崎さんとのお話は15分以上にわたったと思う。逆に僕の方が恐縮してしまい....と言うのも常に緊張を強いられる島崎さんにとっては貴重な休憩時間をお邪魔しているような気分になってきたのだ.....そこで先に失礼させて頂いて会場へと戻った。ちょうど南区大会のメインゲストの竹川美子さん(日本クラウン)のステージが始まったところだった。さすがはプロの歌唱だ。一点の揺らぎもないし、小柄な体からは信じられないような声量の持ち主。口をそれほど開いてないのに、ボリュームのある声が出てくるのにも驚いた。

そしていよいよ審査発表。ステージに南区大会の参加者と審査員の方々がズラリと並ぶ。もうこれは神に祈るしかなかった。
「準優勝 8番、関山千栄美さん!」
よっしゃぁ!EmiさんとJUNYA君とガッツポーズ。
もう涙ものの感動だった。自分の娘が受賞したのと同じ気分というのは、正にこういうことだった。彼女の事を僕はいつも「愛すべきちえみ」と評してきた。無邪気で純粋な子で、裏表がぜんぜんない。逆に言えばなんでも話してくれる。そんな彼女がこうして晴れの舞台で受賞を勝ち取れたことが本当に嬉しかった。

さて、いよいよ今度は港南区大会だ。気持ちを新たにして再び収録に参加する。
再び島崎さんと山口さんの司会がはじまる。

港南区も凄い激戦となった。特筆すべき点としては「舞台慣れ」している出演者が多い。テクニックもさることながら、司会の島崎さんとのやりとりでも南区は平均して5分ぐらいの収録だったのに、やりとりだけで15分もこなす一般出演者がいたのには驚いた。ご夫婦での出演がいたり、ド演歌系の着物で出演している方がいたりで、南区に輪をかけて華やかなステージとなった。

そしてよっちゃん。またもや8番目の登場。もう緊張を後回しにされるのはこれが最後だ。「よっちゃん!」をやった後は、再び祈るような気持ちで耳を傾けた。そして歌が終わった時に、どっとへたり込んでしまった。そんなよっちゃんと島崎さんのやりとりには感動のシーンがあるのだけど、これは放送を楽しみにして欲しい。

再び喫煙所で島崎さんとバッタリ。言葉で語る歌、音楽で語る歌、いわゆる「音魂」「言魂」の話、人を育てることの責任の重さと安易に人の人生を預かるようなことをしてはいけない、ということで島崎さんのお考えが僕の考えていたことと同じだったのが嬉しかった。
そして会場に戻るとゲストの竹島宏さん(徳間ジャパン)。竹島さんは演歌アイドルユニット「イケメン3」のメンバー。もうほとんどジャニーズの人だった。どうも港南区大会は観客が多いと思っていたのだけど、この方目当てのお客さんも結構いたのかもしれない。

とにかく今は気になるのはよっちゃんだ。

さて、いよいよ受賞発表。
こういう緊張感は、もうこれきりにして欲しいと思いつつ、再び神に祈る。
「準優勝 8番、遠藤良雄さん!」
よっしゃあ!再びガッツポーズだ。
とても素直で、その素直さがボーカルに出ているよっちゃん。彼もまたずっとその成長を見てきた一人だ。
辛いことも、大変なこともあったと思う。でもそれを乗り越えて「歌」という自分にとって最高の表現手段で、栄誉を得たことをずっと誇りにして欲しいと思った。
最後に島崎さんがよっちゃんにこう言った。
「本当は優勝したかっただろ?ね?」
「はい」
「でもね、君みたいな若い人がいきなり優勝なんて、そんなトントン拍子みたいな話じゃいけないんだ。"ちくしょう"っていう気持ちがあって、それが"今度こそ"っていう気持ちにつながるんだよ」。さらにこう続けた。
「あきらめないことが一番だぞ。そしてね、もし君が大スターになったら、きっと俺を司会に使ってな!」

(ハマ歌Show。準優勝の二人と管理人宗澤)
さすがは芸の道を貫いてきた人、音楽を良く知っている人の言葉だと思った。何よりも島崎さんが言うと重みが違う。

僕も全く同じ気持ちだった。ハナから優勝できるとは全く思っていなかったし「準優勝を取れたら御の字だ」と思いながらこの収録に臨んでいた。
「ひまカラ」を見ていればわかるけど、この若い二人と競うのは歴戦のツワモノだ。何よりも経験値が違う。

僕は仕事がら、一回のオーディションに落ちただけで道を諦める人を何人も見てきた。正直「ふざけんな」と思ってきた。「20回は受けろ」。そう言ってきた。オーディションを受けるのも経験だ。その落選の悔しさから、次にどうすればいいかを考え、工夫をする。そして成長する。つまりオーディションというのは、何かになるための手段ではなく、何かに進むための道しるべだ。ビートルズだって何回オーディションに落ちたかわからない。「もっちぃ」こと倉持明日香ちゃんだってオーディションに何度落ちたかわからない。ましてこの就職氷河期に、自分だけは1回で諦めようとするなんで、ムシが良すぎるというものだ。

(準優勝の二人とEmiセンセ)
いや、これはもちろん二人のことではない。二人も挫折と立ち上がりを繰り返してきた。でも、そうした経験から一歩一歩前に進んできた。そして今回、確実に大きな一歩を踏み出した。そして何よりも大切なのは、この二人が今回のイベントを通して多くのことを学んだことだと思う。

「御の字だ」と言いながらも、まさかのダブル準優勝には、わが身を持て余すほどの感激だった。感激が汗のように体内から放出しているのが自分でもわかった。これもまた今までスタッフが頑張ってきたことの成果であり、これからの我々の自信にもつながる出来事だったと思う。
今後もすべての歌を学ぼうとする人に、様々な形でそれを表現するチャンス、実現するチャンスを作ってゆきたい。

番組の放映日は、
南区大会が6月29日(水)午前10:00~
港南区大会が7月13日(水)午前10:00~
の予定。

それと….話は変わるけど、改めて「ひまカラ」がどんなに凄いイベントだったかを痛感している。
実はあのイベントには、「ハマ歌SHOW」の戸塚区大会優勝者の永峰由樹さん、準優勝でUS戸塚校オーナーの吉田実則さん、西区大会優勝の折茂有希乃ちゃん、南区大会準優勝のちえみが出演していたのだ。