田中ガスの風呂マネキン at 国道9号線

【田中ガスのマネキンについて】
最初この親子を見たのは雑誌「宝島」のヘンな画像の投稿コーナー「VOW」だった。
今でいう「ジワジワ来る○○」みたいなものだ。1980年代の後半のことだから、僕はまだ大学生だった。

1993年に京都へ転勤となり、右京区の西京極で暮らし始めた。
ある日、ぶらっとサインクリングをしていて、唐突にこの親子に再会...いや遭遇した。

この時の衝撃といったら、なかった。

国道9号線沿いで風呂に入り続ける親子....何かを主張しているわけではない。
ガス設備店の店頭で、ガス風呂に入り、排気ガスを浴びながら笑顔を振りまき続ける親子。

ここから2kmほど離れた場所で育ったカミさんは、こう言っている。
「ここのマネキン、私が小学生の頃(1980年頃?)からあるよ。もっともマネキンは新しいものになっているけど」

この近隣の住民は、家の風呂釜が故障したら「あのマネキンの店」へ行くに違いない。
途轍もなく長期的かつ効果的にシンボライズされた「何か」だと思った。
もしかしたらウチのマイクで歌っているロボットという発想は、このあたりからきたのかもしれない。

以来、桂にある家内の実家に帰る度に、国道9号でこの親子を見てきた。
親子を見ると「自分は今、京都に帰ってきたんだなぁ」と実感する。
そんな時は、僕の脳内で「京都=マネキン」という奇妙な公式が成立している。

京都には僕自身も8年住んでいたけど、常に「ワンダーランド」だと思っていた。
このマネキンもそんな京都ワンダーランドを彩る道端の風景だ。

いつかこの親子をキチンと撮影しておきたいと思っていた。
ラッキーなことに、そのチャンスが巡ってきた。
親子から50mほど離れた場所に、
旅先では欠かせないコインランドリーを発見したのだ。

そこで待ち時間を利用して様々な角度から撮影してみた。
ふとライブステージを撮影する感覚でシャッターを押している自分に気付いた。

そう、この親子にとっては毎日がライブ・パフォーマンスなのだ。

追記:Google Mapのストリートビューにもしっかり写ってら。