横浜トリエンナーレ2005

行ってきました。現代美術の祭典「横浜トリエンナーレ2005」。
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前回は2001年。「3年に1度の祭」というイベント名からすれば、2004年開催だったはず。ところがどっこい、会場が確保できずに1年延期となってしまった。そのうえ昨年「2005年の開催は時間的に不可能」という理由でディレクターの辞任騒ぎにまで発展してしている。5年に1回じゃ「何ナーレ」なんだわかりゃあしないなと思っていたが、何とか開催にこぎつけた次第でホッ。

現代美術といっても、決して小難しいモノが並んでいるわけじゃない。観客参加型で楽しめる作品、観客が参加することで完成してゆく作品が多いというところがポイント。

しかも子供たちでも楽しめる作品が多い。なにしろ前回はまだ5歳と2歳だった娘たちが、「紙を食べているヘンな女の人」や「ギラギラ光るおっぱいこわい」なんて風に当時の作品やパフォーマンスを覚えているぐらいだからね。
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場所は山下埠頭。氷川丸の右手100mぐらいのところに入場口がある。入場口から会場になっている倉庫までは700mほどのプロムナードを歩くことになるのだが、画像のように延々と紅白の旗に彩られていて(これも作品だ)、青空とマッチしてとても美しかった。
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会場内は撮影禁止なので、お見せできないのが残念!
ブースごとに世界各国のアーチストの作品が展示されているのだが、前回と比べてアジア系のアーチストが多い点、場所がらか中華街の印象を作品にしたモノが多かった点が、今回の特徴かな。個人的にはイラストレーター奈良美智(あとココ)&商業デザイン集団grafによるブース(さすがは金がかかってる!)。それとタイのアーチストたちによるSoi Projectのブースが印象に残った。

日曜日ということもあって、多くのイベントが行われていた。たとえば中庭に100個以上の水の入ったフタのないペットボトルが並べられている。観客は全員チョークを持たされる。「堀尾貞治+現場芸術集団”空気”」のアーチストたちがそれをすべて蹴っ飛ばしてゆく。観客はアスファルトに流れ出た水たまり、しぶきの形どおりにチョークでなぞってゆく。水はすぐ蒸発するが、地面には、幾何学的な模様が残されてゆく。
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「タニシK」はさっきからフライトアテンダントのコスチュームを着て電動自動車を運転している。常に観客が何人か乗っているのだが、「行き先はあなた次第」なんだそうだ。彼女は時折この格好でワゴンを押しながら東急線の車内にも出没するらしい。

THeゴッドパァーニャと愉快な仲間たち」は一番わけがわからなくて面白かった。二人の美女がベリーダンスを踊るのをバックに、観客からグローブでボディを殴られるのだ(僕の娘たちも殴っていました)。グローブには絵の具がついているため、ゴッドバァーニャのボディは、殴られれば殴られるほど、鮮やかに彩られてゆく....「体育会系アート」とでも言うのかな。あとでプロフィール見てみたら、僕とおんなじ大学でした。う~む。

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会場内で天井を見上げれば屋根の梁を利用して、3人の果敢なチャレンジャーたちが、クライミングに挑戦している。

と、まあそんなわけで、ここにくると人間が自分を表現する方法や手段は「何でもアリ」なのだなと、実感する。

音楽の表現ひとつとってみてもそうだろう(基礎はもちろん大切だけどね)。前回のトリエンナーレに出品していたオノ・ヨーコはかつて金切り声を自分の表現手段としてジョン・レノンのライブにジョイントしていた。沈黙することが歌唱表現だったアーチストもいた。さらに、今回のトリエンナーレでは、ピアニストの向井山朋子がみなとみらいの大ホール(2000人収容)でたったひとり観客のためのピアノコンサートを行う。入場料は落札制なのだが、すでに100万円を超えているようだ。
受け手と一対一のみの関係を構築することもまた、アーチストにとっては表現活動だということになる。

「芸術の秋だから」なんて気負いはここではいらないわけで、フラっと行って、てきとーに楽しんでくることをオススメする。

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