東京おもちゃ美術館

2015/5/20 水曜日

子供の頃…..1969(昭和44)年ごろの話。
お気に入りだったブリキの自動車トヨエースの車輪が壊れてしまった。車輪が車軸ごとボディから外れてしまったのだ。
そりゃあ3歳か4歳の体重でブリキの自動車を乗りまわしたら壊れるに決まっている。
そうしたら同じ団地のお向かいに住んでいたおじさんが「カー助(当時の僕のあだ名)、おじさんがなおしてあげるよ」と言って、針金でボディと車軸を固定して修理してくれた。今思うとかなり荒っぽい修理だったけど、嬉しかったことはよく覚えている。
結局このおもちゃは相次ぐ引越しの中でいつとはなしに「捨てたか」「捨てられたか」したのだけど、そのこと全く覚えてないにもかかわらず、「修理してもらった」ということだけは今でもよく覚えている。子供とおもちゃというものは、そういうものらしい。

話は前後するのだけど、7日は四ツ谷にある「東京おもちゃ美術館」に行って来た。今年の4月に旧小学校の校舎を改装してオープンしたばかりの美術館だ。
実はSちゃんがここのボランティアをやっていて、この美術館がオープンするという情報は彼女から頂いた。こんな風にお知らせも書いて、チラシも教室に貼っていた。子供たちを連れてゆくにはうってつけの場所だ。

建物である旧四谷第四小学校は1935(昭和10)年の建築らしい。いわゆる復興小学校というやつで、1Fのエントランス付近には、下の写真のように「東京モダン」な雰囲気がプンプンしている。

子役時代の高峰秀子が柱によりかかりながら、「先生、あたしね、お父さまの転勤でいよいよ新京に引っ越しすることになったの」とポツンとつぶやいたのは、きっとこんな空間だったに違いない。

まあそんな妄想を巡らせるのはいい加減にして、さっそく美術館へと入ってみる。

美術館スペースは校舎の3フロアで教室ごとに展示室になっている。
それぞれ日本のおもちゃ、世界のおもちゃ、ゲームのおもちゃ、昔のおもちゃ、といった具合にテーマ別におもちゃが並んでいる。それと別に子供の遊べるスペース(木のボールプールが秀逸!)や、企画展示室、おもちゃの手作り工房なんかが並んでいる。
なぜか小さな竹づくりの茶室があって、これを子供たちが気に入っていた。

ここには電子系のおもちゃはない。木のおもちゃやロングセラーのおもちゃがかなりのウェイトを占めている。
この美術館は運営主体が「日本グッドトイ委員会」なんだけど、この委員会が選定している「グッドトイ」には圧倒的に木のおもちゃが多い。普通「木のおもちゃ」といえば値段がバカ高いのだが、ここで選定されているおもちゃは比較的値段がリーズナブルなのも特徴のようだ。館内にはグッドトイに選定されたおもちゃのコーナーのもあった。シンプルな構造ながら、長持ちしそうな、そんなおもちゃが沢山あった。

そんなおもちゃと小学校の「木の風景」もマッチしていた。
のほほんとした温かみのある空気が流れていた。

さて、娘たちも小学校の中高学年だから、ちょっと「ここ」では年齢的に上すぎるかなとも思ったが、かなり本格的なおままごと空間(スーパーでおもちゃの食材を購入して家で食事を作る的な空間)で、結構ハマって遊んでいた。

僕はゲームのコーナーで複雑怪奇なブロックのおもちゃと格闘していた。
これは中国のおもちゃなんだけど、左のブロックをうまく組み立てると、右のような三角錐になるというもの。

横に組み立ての説明があるんだけど、これを見なければまず組み立て不可能なしろもの。
それとオセロがあったんで、久しぶりに娘と対戦したら、ボロ負けだった。
娘よ、いつの間に腕を上げた?

こんな風に大人も子供も遊べてしまうという不思議な美術館だった。

考えてみればおもちゃというものはシンプルな構造であればあるほど壊れにくいものだ。
壊れていないおもちゃは、やはり親としても捨てにくい。娘たちが大きくなったいま、我が家に残っているおもちゃは、ここ数年の間に買って、すぐ壊れてしまった電子ゲーム系のおもちゃより、幼児の頃に買ってあげた単純なおもちゃの方が多い。
そういうおもちゃはもしかして娘たちの人生に一生ついてゆくのかもしれない。たとえば長女が1歳の時に買ってやったイワヤ玩具の「こいぬのドン」は今でも元気に動いている。娘もこれを大切にしている。これは同時期に発売されたAIBOに対抗して買ったのだけど、コイツの方がずっと長生きしそうな気がする。

さて話はかわるが、校舎の外壁にこんな古ぼけた表示看板があった。

白地「そと」と書いてある。回転型になっていて裏側も表示できるようなので裏側を見てみると....

赤地に「うち」と書いてある。

校庭で遊んでいる子供たちか、これから校庭で遊ぼうとしている子供たちに、何かの情報を伝えるための看板だったということはたしかだ。

これが何に使われたものかは、ののちゃんに尋ねてみるのが一番だろう。