ペヤングソース焼きそばに捧げる詩

男ひとり、残業の夜にペヤングソース焼きそばを食らふなり

ああペヤングよ
セロファンを剥がすとき、静電気によってまとわりつくその悩ましさ
「かやく」を投入するとき「麺と混ざってくれい!」と祈る気持ち
お湯を入れるとき、せいて先に排水口のつめを立ててしまうせっかちさ
お湯をラインまでは注がず、ひたひた程度にする
硬めの麺で食べようとするこだわり
ペヤングソース焼きそばに捧げる詩
ああ、ペヤングよ
3分間を待つもどかしさよ
お湯を捨てる時、蓋が外れないその堅牢さよ
ダブルサイズはさらなり

ああ、ペヤングよ
お湯をすべて捨てずに、ややジューシィーに食べるこだわり
我はソースの袋を開けるとき、必ず手をソースで汚すなり
そしてソースわずかに袋に残ってしまうもどかしさ
箸でソースとかやくと麺と混ぜるとき「うまく混ざれ!」と祈る気持ち

ああ、ペヤングよ
3分間待ったその甲斐よ
なぜか食するには割り箸が似合うなり
食べても食べても飽きぬその瞬間、その時は永遠なり

ああ、ペヤングよ
やはり麺とは混ざらずに「かやく」は容器の隅に残るなり
それが「祈り」に反して嬉しけり
最後にそれを味わって食べる時こそ至高なり