NANAその2

入院中、アキンコに借りていたNANAの8巻から13巻までを読む。
以前「奈々が真っ正直そうなノブというキャラクターと結ばれたので、おさまるところへおさまったのかな?と思っている。しかし、そうは問屋がおろさないそうだ。」と書いたが、まさにそのとおりだった。奈々が妊娠し、直前まで関係を持っていたタクミと復縁&同居しはじめるのだ。

おいおい、何というベタベタな展開だ!

面白いのは奈々。何のかんの言いながらも、そうした急激な運命の変化に適応している。白金台のマンションでのセレブ的生活....仕事に忙しいタクミの帰宅を待ち続け、生まれてくる子供のために夢を描く...に見事にハマっている。「女性の方が男性より現実への適応能力が高い」という事実をキチンと演じているし、作者はそこをディティールにこだわりながらキチンと描いている。

いっぽうでもうひとつのマンガらしい現象が起きている。「いったん運命が定まったキャラは動かなくなる」だ。これ以降、奈々のコミックにおける存在感は急激に低下してゆく...時折作者が無理やりチャチャを入れようとするのだが(章司なんていうとっくに忘れていたキャラとの再会やナナへの友情的な思いのゆれ)、どうにも主人公が動かなくなってしまっている印象を受けた。自然と話の中心はナナへと移行し、彼女のバンド「ブラスト」のサクセスストーリーになりつつあるというところで13巻を読了した。作者は音楽業界についてよほど勉強したのだろう。よく描けており、こうした部分を拾ってゆくだけでも面白かった。

この人間ドラマの狂言廻し的なポジションに座った奈々。まさかとは思うがまたひと波乱あるのだろうか?
それともマンガは終着点へと近づくのだろうか。
希望としてはナナのサクセスストーリーと結婚と奈々の出産なのだが、そういう予定調和的な希望などよりシビアなのは、雑誌編集長の意向だ。コミックの連載継続は編集長のさじ加減で決まるのだ。意向次第ではまだひと波乱あるかもしれない。