フランス行ったら洪水だった Part 2

フランス行ったら洪水だった Part 1」の続き。

27年ぶりの海外旅行は「2016年ヨーロッパ大洪水」の真っただ中のフランス中南部をぶらぶらすることになってしまいました。それでも被害甚大なオレルアンからリモージュやアルビまで南下すると、雲量はやや多いですが青空の見える日も多く平穏な旅が続きました、

再びフランス中部に戻ってきたのは6月7日のこと。
フィジャック [Figeac]という町から一気に350km北上して、ロワール渓谷の城々を見るという予定でした。父の立てたプランではフィジャックからの大移動の後に「シュノンソー」「アンボワーズ」の2城を観光し、翌日は「シャンボール城」を見た後に、シャルル・ドゴール空港まで戻るというものでした。
しかしクライマックスのシャンボール城が冠水しているというニュースが入ってきているのと、パリまでの交通が寸断されていること、母がやや疲れ気味ということもあり「3城のうちひとつでも見れたらラッキー」ぐらいのつもりで北上したのです。

シュノンソー城に到着したのが14時30分ぐらい。何しろ「川に浮かぶ城」です。果たして見れるだろうか?ぐらいに思っていたのでオープンしていたのはラッキーでした。
実はここが一番見たかった城でした。ここは日本でも人気の高い名所ですので、入場時にもらえるガイドブックも日本語です(もっとも圧倒的に多かった東洋人は中国人)。
シュノンソー城への道
(城への道は神宮外苑のグレート版)

参道(?)みたいな道をずんずん歩いて行くんですが、周辺よりは1m高めに作られている参道はともかくとして、その両側の森は水浸しでした。
シュノンソー城周辺の冠水
フランス洪水 シュノンソー城周辺
世界遺産「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」って言われているぐらいなんですから、そりゃあ水浸しにもなるわけです。
今回の水害が水がなかなか引かないのと、じわじわ被害が広がってゆくところが、日本の水害と違うわけですが、そういうのって大陸性の水害なんですね。
Wikipediaの「ロワール川」をみると「長さは1,012km、流域面積は117,000km²でフランスの面積の5分の1を占める」と書いてあります。長さは信濃川の2.7倍、流域面積は10倍近くあるんです。各所へ降った雨が何日もかけて下流へ集まってきて、じわじわと被害を拡大させてゆくわけです。

僕の父は昭和14年8月に祖父の赴任先だった中国の天津で水害を経験しているんですが「何日も前から”洪水が来るから逃げる準備をしろ”と言われて準備をする。”今日はどこそこの街まで水が来た”ということを毎日言われて、”いよいよ今日あたり来るだろう”ということになったら、ストリートに水がじわじわと流れ込んできた」と言っています。
昭和14年8月 天津水害
(祖父が撮影した天津水害の写真)
昨年9月にたまたま友人と茨城や福島へ城めぐりの旅行へ行ったのですが、その3日前に「平成27年9月関東・東北豪雨」で常総市が洪水に襲われました。たまたま通り道だったので、つぶさに被害状況を目撃することができたのですが、ああいう不意打ちに近い水害とは違うんですね。

まあ、そんなことを考えつつ「参道」を進んで行くと、「水上の城」として名高いシュノンソー城が見えてきました。
フランス洪水 シュノンソー城
おいおい、ずいぶん水位が高いぞ。
Wikipediaのシュノンソー城
(Wikipedia シュノンソー城の画像)

写真の上手い下手はともかくとして、明らかに平常時と水位が1mほど違うのがわかります。「水上の城」じゃなくて「濁流上の城」になっている。

城はロワール川の支流であるシェール川(この川だけでも信濃川以上の全長と流域面積を持っている)の橋脚上に建設されているわけですが、城の地下(パンフには1Fとなっている)に当たる橋脚内部が台所になっているわけです。
シュノンソー城の台所
この台所に立ってみるとわかるんですが、どう考えても現時点の河川の水面よりも低い場所に立っているんです。
そして別室の窓の外側には緑色の土嚢が積まれていました。恐る恐る窓の外を覗いたら濁流が土嚢の下20cmぐらいの所を流れている。
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これ以上水位増えたら窓を蹴破って濁流が流れ込んで来るはず。登り階段は狭いのがひとつ。地下1階に観光客は40名ほどはいる。まずは助からない。
それでも観光させちゃうフランス強ぇ~と思いました。僕はこういうフランス人が結構好きですけどね。

庭園も水浸しです。
フランス洪水 水に浸かったシュノンソー城庭園
フランス洪水 水に浸かったシュノンソー城庭園
フランス洪水 シュノンソー城とボート

本来は水際の涼し気な空間なはずのブドウ棚もほぼ水没しています。
フランス洪水 シュノンソー城ぶどう棚

まさか生まれて初めての西洋の城がこんな珍妙な状況で見れるとは思いもしませんでした。
濁流上の城 シュノンソー

この後、アンボワーズ城は省略し、宿泊先のあるモントリシャール [Montrichard]という街に入ります。美しい街ではあるのですが、所々で水が引いた後のように道路が泥だらけになっています。街の中心部は川の方へ行く道がほぼ通行止めです。
それでも「La Villa」という可愛らしいオープンテラスのレストランで食事した後、すぐお店の裏側にあるシェール川に出てみたら驚きでした。
川が氾濫して道路が冠水しているんです。


(2016/6/7 シェール川の氾濫と水遊びする子供たち iPhoneで撮影)

同じ区画のこちら側では通常通りレストランが賑わっていて、裏側では道路が冠水している。
モントリシャール 冠水
子供たちは水際で楽しそうに遊んでいるし、お父さんがそれをニコニコしながら見ている。
フランス洪水 モントリシャールで道路冠水
なんとものんびりしているというか、強いというか.....もうこちらも苦笑するしかなかったです。
フランス洪水 モントリシャールで道路冠水
フランス洪水 モントリシャールの冠水した道路で遊ぶ子供たち
フランス洪水 モントリシャール店舗まで水が入っている
フランス洪水 家々が冠水 モントリシャール

気になるのは翌日のスケジュールでした。
いくつもの高速が通行止めとなっている中、この街から250km北上して午後2時までにシャルル・ドゴール空港へ行かなければなりません。
パリ市内も各所で通行止め状態が続いています。
6/7 パリの交通情報
ホテルのおばさんが「高速ならばトゥール→ル・マン経由で行けばパリまでは行ける」と教えてくれたのですが、これだと西へ250kmも大回りさせられます。
だったらモンテリシャールからまっすぐ県道を120km北上して、開通区間であるシャルトル[Chartres]から高速に乗っても大して変わらないだろう。行っても見れるかどうかわからないシャンボール城はあきらめようと決めたわけです。
シャルル・ドゴール空港へ到着したのは13時30分でしたから、何とかセーフでした。

旅はいつでも余韻を残しておいた方が良いと思っています。
見たかったけど見れなかったというのがいくつかあれば、また行ってみようと思うわけですから。
今度いつフランスに行けるかなんて想像もつきませんし、あるいは一生行けないかもしれない。それでもシャンボール城はそういう「余韻」なんだと思います。

それ以上に洪水直下のフランスを体験できたのは、稀有な経験だったと思うのです。

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