首都圏外郭放水路社会科見学ツアー&ミウラスマライブ

湾岸道路から荒川沿いの環状線に入った頃から、雪が強くなってきた。
さっきからカーステレオでは「ウルトラ警備隊のテーマ」とか「サンダーバードのテーマ」とかが流れている。かと思えば梶芽衣子の「怨み節(女囚さそりのテーマ)」も流れていて、車窓から見える寒々しい雪景色に比べれば、かなりホットになっている。
この車内の方々が、今日ホットになるには理由があった....

さて、マニアな人気で1~2ヶ月前から予約いっぱいという人気施設が埼玉県の春日部にある。
「首都圏外郭放水路」がそれだ。

「何じゃそりゃ?」という人のために簡単に説明すると、「首都圏外郭放水路」というのは、中川と綾瀬川の流域を豪雨による洪水から守るため、国道16号の直下50mの作られたに作られた世界最大級の「地下河川」だ。豪雨によって大落古利根川、中川、幸松川、倉松川、18号水路の水位が一定以上になると、それぞれの河川に隣接した5基の巨大立坑(深さ60mもある)に水を落とし、延長6.3kmの地下トンネルを利用して江戸川へと排水する。

圧巻は何といってもこの「地下調圧水槽」。
「地底のパルテノン神殿」とも言われるこの設備は、トンネルを通って流れてきた水を江戸川に排出する前に、一定の量まで貯水する地下の巨大タンクで、今や「地底マニア」「巨大建造物マニア」にとっては聖地なのだ。
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(江戸川河川事務所公式サイトより)

前回の「国会議事堂参議院見学ツアー」に続いて、今回の「社会科見学ツアー」は、この「首都圏外郭放水路」へと突撃した。
同行してくれたのはカカ王さん、あおたさん、こじこじ、ガコ、moemiの5人。年齢幅は16歳から44歳まで。凄いのは平日にもかかわらず仕事の休みをとって駆けつけてくれた方が2人いたこと。「以前から行くのが夢だった」「これは行かなきゃやばいでしょう」なんて言ってくれて、「企んだ側」としては嬉しい次第だった。

東北自動車道の岩槻ICから16号を走ること45分、春日部市のはずれ、千葉県までリーチがかかっている場所に、目的地の「庄和排水機場 龍Q館」があった。
龍Q館
雪や工事による予想外の渋滞をくぐりぬけ、時計は14時22分を指していた。
見学集合時間まであと8分というキワどいところだった。
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見学の受付フロアはこんな感じ。ここで「首都圏外郭放水路」の概要を説明した10分程度のビデオを鑑賞。いかに春日部近辺が洪水の多い街だったか、外郭放水路の目的、その効果などを学習した。後でパンフレットを読んで知ったのだけど、春日部付近は江戸川や荒川に挟まれているのだけど、両川の水面よりも標高が低い地帯なんだそうだ。その中に何本もの河川がある。河川は増水しても、大きな川に逃げ道がなかった。だから平成になってからも3回も洪水による被害があったらしい。

おっと、その前にこういう同意書を書かされた。
首都圏外郭放水路 同意書
■外郭放水路見学中は、案内者と行動を共にし身勝手な行動をとりません
■外郭放水路見学中は、現場内の注意事項を厳守します
■見学中の事故についての責任は自らにあるとします
という凄い内容。
「物見遊山気分で見るな」という意味なのだけど、もうこうなってくると決死の覚悟が必要だ。

この後、係員のおねえさんにより稼動模型を動かしながらのレクチャーが20分ほど続く。放水路トンネルをへて調圧水槽にたまった水は、ジェット機の1万4000馬力のガスタービンエンジンを改造した巨大ポンプによって、江戸川に排水されるのだが、その処理能力は小学校の25mプールの水と1秒で排出する力があるんだそうだ。

「この放水路完成によって....」と係員の女性。
「以前の平成○年の台風の際は床上浸水2000軒だったものが、昨年8月の豪雨では....」ときたので、身構えていたら、
「14軒におさえることができました」。

「14軒あったんか~い」と心の中でツッコむ。
外郭放水路建設時には、下流の50万人の被害人口が2万に減少するという試算があったそうで、やはり全てを救済するというのは、どんな立派な放水路でも無理なようだ。
(参考資料:春日部市HP→浸水被害実績図の供覧について 平成20年8月の春日部付近の豪雨被害)

なお、この展示スペースに隣接したコントロール・ルーム。
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特撮ものの本部としてよく使われるらしい。今は「トミカヒーロー レスキューフォース」の世界消防庁の総司令部として使われているんだって。よおし甥っ子に教えてやろう。

というわけでレクチャーが終わって知識を装備した我々は、さらにヘルメットも装備して、いよいよ本日のメインイベントである「地下調圧水槽」へと案内される。
龍Q館を出て、雪の中を200mほど歩き、階段の入り口となる建物から、ゾロゾロを190段の階段を地下へと降りてゆく。
階段を二廻りもすると、眼下に壮大な地下神殿の風景が広がってきた。
「階段では写真撮影禁止」のため、降りるまで我慢する。

地下に降り立つと、10分の自由時間を与えられた。
人間が作った巨大建造物の途方もない美しさに息を呑む。
首都圏外郭放水路 調圧水槽

幅78m、長さ177m、高さ17mの巨大水槽は、4階建てのビルがすっぽり入ってしまう。
首都圏外郭放水路 調圧水槽

一本の重量が500トンという柱が59本も建っている。
首都圏外郭放水路 調圧水槽

途中で係員のおねえさんに撮影してもらう。
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造船中のタイタニックの船首部分みたい。
首都圏外郭放水路 調圧水槽

この59本の柱は、水槽下から生じる地下水が、水槽そのものを地上に押し上げるのを防ぐために、作られているそうだ。「調圧」という意味もそれを指しているらしい。
首都圏外郭放水路 調圧水槽

あれよあれよという間に10分が過ぎてゆく。
カメラマンの夢を持つmoemiは、さっきからあっちこっち走り回って撮影している。10分という限られた時間の中で、写真に収まり切れないぐらいの巨大な対象物を撮影するなんて、難しい課題だろうなと思う。

「教室軍団」で記念写真。
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最初「首都圏外郭放水路」に行こうと思ったのは、2007年の年末のこと。
見学中止期間やら何やらあって、ようやく夢が実現したのは1年3ヵ月後だった。
その夢に与えられた時間は10分だった。
まあ、そんな夢があってもいいでしょう。

今年は仕事では2年がかりでカラオケ屋さんとの提携の夢を実現し、
個人的には1年3ヶ月がかりで、ここを訪れる夢を実現した。
次はどんな夢を実現しようかと思う。

夢といえば、僕らが外郭放水路で見学しているまさにその頃、妹が双子を出産した。
可愛い姪が一気に二人も増えた。
いま、こんな時代に生まれてきた子どもたちに、
夢を与えられる未来を作るっていうのも、
大人の責任なんだよね。
「調圧水槽」みたいに、壮大でガッシリとしたヤツをね。
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この後、越谷に誕生した日本最大のショッピングセンター「イオン・レイクタウン」に立ち寄る
イオン・レイクタウン
常識を超えた大きさだったけど、フードコードで食事をして、「何とか」っていうパウダースノーみたいなかき氷を食べて、1時間30分ぐらいで退散、一気に横浜に戻る。

20時すぎに磯子区屏風ヶ浦のuda 2 cafe(ウダウダカフェ)に到着。GUN FRIEND SHIPのスマちゃんのピアノ弾き語りライブにメンバーで参上する。スマちゃんとは教室で知り合ったばかりだけど、なんだか独特の世界を持っている子で、彼女の曲をネットメディアで聞いて、興味を感じていた。

観客には、先週の「結婚式パーティー」で、The Pocopensのドラムを叩いてくれた「番長」がいた。偶然にも「番長」はかつてGUN FRIEND SHIPでドラムを叩いていたことがあるんだそうだ。
ミウラスマ
透明感のある声と、構築された音楽世界。雪が降り積もるときの「しんしんしん」とした雰囲気を、彼女の音楽から感じた。何だかじわんときた。

こうなると、お次はGUN FRIEND SHIPをみたくなるわけだけど、
一番行きやすいのは、
3月27日の関内B.B.Streetだな。
ライブ見終わったら、たぶん京都へ徹夜で帰省することになるわけだが.....
もう、そういう展開にはすっかり慣れてしまった。