京都の里山

2015/5/9 土曜日

京都のもう一つの表情は集落や里山の美しさだと思う。
平安時代から網の目のように発達していた道みち、そこに点在する集落は、文化の中継点としての機能を古くから持っていたし、そこで育まれた美学みたいなものを風景に描いてきた。

13年前、社用車に無断でカーステレオをとりつけた僕は、Van MorrisonThe Byrdsを聴きながら、月に1~2回、京都市内を離れてこんな風景の中を走っていた。あっ、言っておくけど仕事ですよ~だ。福知山、綾部、舞鶴、宮津にも客先があったので、定期的に営業で廻っていたのだ。

そして、客先へ行く合間に、このような風景の中に車を停めて、ひと息ついたものだ。
毛原の棚田
これは毛原の棚田。京都府福知山市大江町の毛原集落にある。
070811-18_kyoto_012_02.jpg
ここは1999年に京都の棚田では唯二日本の棚田百選に選ばれている。

たまに部長が客先の挨拶廻りなどで来る場合には、社用車で連れてゆくわけだけど、合間にこういう場所に連れて行くと喜ばれたものだ。数字も勿論大切だけど、自分の担当地域に知悉するということも大事だと、部長に言われたことがある。この人は「時間が空いたら観光しろ」とマジで言っていた。僕もそう思う。客先を知るのにその風土を知ることはとても役に立つ。

あっ、そうそう。思い出したけど、この部長が僕の社用車に乗った時、途中でカーステレオに気付かれたことがあったっけ。部長に「何だこれは?」と尋ねられた僕は、こう言った。
「Van Morrisonというアイルランド出身の歌手です」

●京都写真(Kyoto Photo)さんのblogより日本の棚田百選「毛原の棚田」←美しい写真が数多く見れる。スライドショーもある。
毛原の棚田公式サイト
京都府による毛原の棚田の紹介

さあて、お次は圧倒的な量のかやぶき屋根がお出迎えだ。
美山町北村3
京都市南丹市美山町の北村。山村の集落としては、岐阜県の白川郷と並んで数少ない国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
美山町北村
現在は「かやぶきの里・北村」なんて観光地名もついているが、沿道に土産物屋がズラリと並んでるような白川郷と違って、生活に密着した静かなただずまいがある。
美山町北村2
今度京都へ行くときは、このあたりで一泊してもいいかなと思っている。近くにもお風呂もあるのだけど、車で30分ぐらいの場所には、スプリングスひよしという立派な温泉もある。

さてお次は越畑の棚田
越畑の棚田1
何とここは京都市内。京都市右京区の越畑という集落だ。「嵯峨越畑上中溝町」なんて地名がついているから、嵯峨野あたりだろうなんてタカをくくっているとさあ大変。ここに行くには嵯峨野から山奥に10km進まなければいけない。正確には嵯峨野の化野念仏寺のちょっと先を左の山道に入り、曲がりくねった山道を10kmほど進む。京の都の「雅(みやび)」という感性とは対極の「侘び」という感性が、この距離をへだてて存在する。
越畑の棚田2
この道は昔から大好きな道だった。仕事では国道9号線渋滞時の園部への抜け道だった。それに保津峡水尾の集落は通り過ぎるだけでも風情があった。ただ悲しいかな当時は仕事という意識があったために、どこかこの景色によそよそしいところがあった。こんな美しい風景をじっくり写真におさめようという気になったのは、今回の旅行が初めてだった。人間というのは立場が変わることで、見えてくる景色や風情がある。
越畑の棚田3
黄色い花は菊の一種らしい。
070811-18_kyoto_022.jpg
この越畑から山を下ると、日置という集落がある。実はここ、男前豆腐店のある舟枝とは2kmも離れていない。この日置に父親の実家がある浅田香織さんという女性がいる。彼女自身は京都市内の生まれなのだけど、子供の頃は日置付近の山でずいぶんマツタケ狩りをして遊んだらしい。

そんな彼女も今ではBonnie Pinkとして有名だったりする。