楽器ファア2007に行くひとはRoger McGuinnを見るべし

ええとですね。11月1日から4日まで、パシフィコ横浜で楽器ファアが開催されていますが、もし11月4日(日)に行く人がいるならば、ぜひ会場内で同時開催される「プレミアムギターショウ」にも足を運んで下さい。
この日12時から黒澤楽器主催でマーティンの7弦ギター(Roger McGuinn Model)のプレゼンテーションを行いますが、ゲストに当のRoger McGuinn(ロジャー・マッギン)という人が出演します。
実際に7弦ギターのプレイをしてくれます。
Roger Mcguinn
「誰それ?」
って思うでしょうね。

彼は日本での知名度は極端に低いですが、あの60年代に様々なサウンドをクリエイトし、The BeatlesやBob Dylanにも影響を与えたThe Byrdsのリーダーだった人です。
↓トヨタのCMでも使われていた「Mr. Tambourine Man(1965)」。Bob Dylanのフォーク・ソングを原型を留めぬほどにロック化した名曲です。

この動画で一番右端でトレードマークの「おばあちゃんサングラス」をかけている人がRoger McGuinnです。この曲によって「フォーク・ロック」という音楽が成立し、ロックというものがより高次な段階へと進んでゆく発火点となったのです。そもそもフォーク・シンガーだったRogerはThe Beatlesに目覚めてロックをはじめたのですが、逆にこの曲はJohn LannonやGeorge Harrisonにも影響を与えました。たとえば、The Beatlesの名盤「Rubber Soul」に漂っているフォーク・テイスト溢れる音楽の数々は、この曲の影響なくしては語れません。それとこの映像の一番左にいるマント姿のオッサンはDavid Crosbyというのですが、よりにもよって藤沢の楽器屋で、この男を目撃したという人がいます。キタさんです。
キタさんも一緒にRogerを見に行きます。

お次は「Eight Miles High(霧の8マイル)(1966)」

ドラッグ体験を歌った世界初の「サイケデリック・ソング」なんて言われていますが、それはともかくとして、RogerによるJohn Coltrane風のギターソロと独特の浮遊感が印象的なこの曲は、間違いなくロックの歴史に残る名曲です。

お次は「You Ain’t Going Nowhere(1968)」。これまたDylanの曲ですが、全く原型をとどめておりません。ブルーグラスのEarl Scruggsとの競演で、1番目を歌っているのがRogerです。ちなみにヒゲ面の花柄の派手なシャツを着た人はClarence White(クラレンス・ホワイト)といいます。彼は伝説的なギタリストでして、当時のByrdsに在籍していました。

The Byrdsは1968年には早々とサイケデリアな時代と決別し、カントリーとロックとを融合することで、「ダウン・トゥー・アース」的なサウンドを生み出しました。これはつまり1970年代のロックの進むべき道筋を予言したということだったのです。

The Byrdsは、たったひとつのバンドで、多様化するロック・サウンドの大枠をクリエイトし、ロックの急成長期に多大な影響を与えたグループでした。
僕はサウンド・クリエイターとしてのRoger McGuinnを
John Lannon
Paul McCartney
Bob Dylan
Pete Townshend
Ray Davis
Brian Wilson
と肩を並べる最重要人物だと考えています。

NBCのニュースでRogerが自分のキャリアについて語ります

問題はなんでそれほどの大人物が、なぜこのような極東の国のショーに出演するのか?ということなんですが、それが彼のいま好きなスタイルだから、としか言いようがありません。

近年の彼は、「Folk Den」と命名したトラディショナル・フォークの保存活動に余念がなく、このプロジェクトを通して自己の演奏した曲をWEB上で公開したり、CDとしてリリースしたりしています。そのかたわらギターの教則本を出したり、大きな劇場から小さなライブハウスまで様々な場所での演奏活動をこなしています。あれだけ「新しい音」をクリエイトしてきた人物が、自己の原点であるトラディショナル・フォークにこだわるというのも面白いですね。

「目撃」というのは一瞬一瞬の出来事かもしれませんが、
それは音楽を探求する人にとって、のちのち別の意味を持つかもしれません。
Rogerをぜひ「目撃」してください。

参考サイト:Roger Mcguinn公式サイト