ヌッキー@リュウ at Little Wing

何にもとらわれず、世のしがらみや派閥に巻き込まれず、好きな音楽を好きな場所で好きなだけ表現する。そういう表現に関する自由な環境は、とてもかけがいのないものだと思う。その一方で理想と現実とのギャップをいかに認識し、いかに埋めてゆくか、これも大切なことだったりする。職場じゃあ組織として仕事を行う、だから一人で歌う時ぐらい自由に歌わせろってんだ。ただお客さんへのサービスもきちんとしなきゃ......というあたりが、多かれ少なかれ音楽を表現する人たちの精神じゃあないだろうか。
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この人も然り、ギター一本で西へ東へと出現する。
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そんなヌッキー@リュウちゃん、11月14日土曜日は日ノ出町のLittle Wingで初の単独ライブを行った。

近年、この人は、自分の音楽の原点ともいえる「ナガブチ」にハマっている。
「ナガブチ」と言ってもムキムキマッチョのナガブチ(現行バージョン)ではなく、初期の....デビューから1981年頃までの....もっとディランやニール・ヤングの影響がソリッドに出ていて、失恋の歌を平気で歌っていた頃のナガブチが好きなようだ。
このあたりは分かる気がする。
世界平和を主張するJohn Lennonより、「失われた週末」にロスで飲んだくれているような「人間臭い」John Lennonが好きである、という点でお互いに意見は一致するし、僕もさだまさしを聞くけど、グレープ解散後から「関白宣言」で有名になる前の数年間しか聞かない、というのと一緒だ。

ところがどっこい、リュウちゃんのファンと言えば、The Losebeat時代からの人が多いから、ナガブチだと静かに聞いているんだけど、選曲がThe Beatlesになると、手拍子は入るわ、口ずさむ人はいるわで、盛り上がる(って僕もそうなんだけど)。
「みんなひどいよね~」とリュウちゃんは苦笑する。
「だって私、ナガブチはダメだもん」とお客さんに言われる。
まあ言われ放題だ。
でも、ここに来ている誰もが、この人のことが好きなのである。
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一番大切なことは、この人の「逆流(ナガブチの曲)」もこの人の「God(John Lennonの曲)」も、同じぐらいの説得力と完成度の高さと感動を持っているということだと思う。ウソだと思うならば、一度聞いてみればいい。
「The Beatlesのカバーをするヌッキー@リュウ」なんじゃなくて、「ヌッキー@リュウがThe Beatlesやナガブチのカバーをしている」ってことに意味があると思う。

ライブ終了後、お店のオーナーさんがマンドリンを持ち出し、たまたま来ていたお客さんがギターを持ち出して「Black Mountain Rag」をやり始めた。オリジナルは古いトラディショナルソングなのだけど、僕がよく知っているのはThe Byrdsがライブでやっているバージョンだ。

これをきっかけに自然発生的に3人のフリーセッション大会となった。
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こういう場合に世界共通の「言語」である「The Beatles」はサッと出来るから凄い。
「And I Love Her」、「Here Comes The Sun」と次々に繰り出される。思いもかけない3rd Stage。これがまた素晴らしかった。そしてリュウちゃんの楽しそうなことといったらない。

見ず知らずの人たち、また同じ面子が揃う可能性はないけど、そんな自然発生的に生まれる音楽でさえも、これだけ素晴らしい音が生まれるってところに、いろいろと考えさせられたし、色々な答があるような気がした。
とにかくあの日、あの場所に居た人しか味わえない、素敵な空気があった。

(そうそう、「Black Moutain Rag」で思い出したけど、以前に楽器フェアでThe ByrdsのRoger McGuinnが生演奏したのをYoutubeにUPしたこともある。Roger McGuinnという人は、60年代のミュージックシーンに与えた影響の大きさは、決してJohnやPaulに劣らない人だ。そんな凄いキャリアにもかかわらず、彼はいま、ギター一本で世界中を旅している。)