三億円事件に乙女心が傷ついた話

2007/10/9 火曜日

生徒のT子さんに聞いた話。

昭和43年に東京の府中で三億円事件が発生したとき、
T子さんは事件現場と目と鼻の先にあった高校に通っていた。
事件発生直後の周辺は大騒ぎだったらしい。

現金輸送車ごと強奪された三億円は
東芝府中工場の従業員のためのボーナスだったのだが、
T子さんにとってそれは、他人事ではなかった。

彼女のお父さんはそこに勤務していたのである。

T子さんは乙女心に思った。
「お父さんのボーナスが出なかったら、どうしよう」。

結局ボーナスは数日遅れで支給され、T子さんは安堵の胸を撫で下ろしたそうだ。

三億円事件に関する捜査の話はいくらでも聞く機会がある。

だけど、乙女心を傷つけた話など、僕にとっては初耳だった。

三億円事件=昭和43年12月10日朝、東京の府中刑務所前の道で、ニセモノの白バイにのったニセ警官によって日本信託銀行の現金輸送車が、車ごと現金を強奪された事件。

一橋文哉の「三億円事件」によると、輸送中の現金には二重三重の損害保険がかけられており、リスクを分散させていたため、国内では金銭的な被害者(T子さんもふくめて)はひとりもいなかったそうだ。