Amazing Journey – The Who Live at Budokan (11/19) –

僕を見て
僕を感じて
僕に触って
僕を癒して
“See Me Feel Me (1969)”

昨日、この普遍的な人間の4つの衝動からなる歌詞をRoger Daltrey歌いだしたとき、「明日死ぬぐらいならば、今日死んだ方がマシだな」と、本気でそう思った。

この曲は30年前に僕が彼らを知るきっかけ(上のシーン=映画「Woodstock」での名演)となった曲。このために音楽の奥深さにハマリこみ、そこから抜け出せなくなり、いま自分がやっていることの遠因となってしまった。それと、彼らは1965年に「My Generation」で歌った「年取る前に死んじまいたい」という一節。そんなことがいっしょくたに頭をよぎり、上のような感慨を抱いた。実際にはこれを書いているのはもう明日なわけだから迂闊に死ぬわけにもゆかないのだけど....

激しい暴力性と美しい叙情性、破壊への衝動と構築された秩序、そんな相反する要素を兼ねそろえたロックバンド”The Who“の初の単独日本ツアーの最終日、武道館公演にカミさんと行ってきた。今回のツアーでは14日の横浜アリーナに続いて2度目のライブだ。よくやるよこの夫婦。
2004年のオデッセイの時もそうだったのだけど、30年ほど不自由な思いをしてきたのだから、この位は許されてもいいだろう。

ステージ前8列目で、過去3回(ロック・オデッセィ2004をふくむ)のステージの中では、最も近い距離から見ることができた。武道館という狭さ(横浜アリーナに比べて)もあって、より観客と彼らの一体感を感じることができた。「年取る前に死んじまいたい」と歌った彼らはすでに60歳を超えてしまった。だけど、これだけは言える。彼らの音は博物館に陳列されている骨董品の音ではなかった。現在進行形のロックバンドのそれだった。

すでに破天荒な叩き方で最後にはキットをすべて破壊してしまうドラムスのKeith Moonは1978年に亡くなっている。
静かなる巨人で、ギター以上にフレーズを弾きまくるベースのJohn Entwistleも、2002年に亡くなってしまった。

だけどZak Starkey(The BeatlesのRingo Starrの息子でOasisのサポートもつとめた)のドラミングは、過去のサポートドラマーの中では格別だし、何よりも彼に最初にドラムの手ほどきをしたのは、故Keith Moonだから、彼のドラミングにはKeithの破天荒さが伝わっている。やはり最終公演だからだろうか、ドラミングは14日の横浜アリーナより良かったと思う。Amazing Journey~SparksでKeith Moonやってた滅茶苦茶なフィルインを、横浜アリーナではハイハットの打ち鳴らしで済ませていたのだが、武道館では本気でドカドカ叩き込んでくれた。

ベースをサポートしたPino Palladinoは、Johnのような「リード・ベース」的な弾き方はしないものの、手堅いプレイを見せてくれた。

リーダーであり大半のソング・ライティングを手がけたPete Townshendは健在だ。彼は僕にとって最も偉大なミュージシャンであり、彼が健在であることはThe Whoが精神的に健在であることを意味している。

武道館では双眼鏡を持参して、ギターを弾く彼の表情をじっくり見ることができた。すでに63才を超えたPeteは頭もすっかり白くなり、シワもずいぶん増えていた。哲学者然とした雰囲気すら漂っていたけど、手を風車のように廻してギターを弾くあのスタイルだけは1965年のMaquee ClubのPeteと何ら変わりはなかった(もうジャンプはしなくなったけどね)。

ボーカルlのRoger Daltreyは相変らずマイクをブンブン振り回していた。思っていた以上に声は出ていた(”Won’t Get Fooled Again”の有名なシャウトは、いつの間にやら観客の合唱シャウトに助けられるようになっていたけどね)。
むしろPeteの方が綺麗なハイ・トーンをきかせていたように思った。それと、どうもマイクスタンドの調子が悪いようでRogerは困っていた。途中で2度ほどステージにローディーが飛び出てきて調節してくれたけど、結局ウマくゆかなかったようだ。まったく「武道館のマイクスタンドは困り物」というのはジンクスのようで、かのBeatlesも武道館でフラつくスタンドに悩まされたことを思い出した。

ファンが「Pete!」「Roger!」と連発する。僕は30年来サポート・キーボードを担当するJohn “Rabbit” Bundrick(後期Freeのメンバーで、E.L.Pとの後楽園球場ライブにも山内テツとともに出演している。昨年奥さんを亡くされた)に敬意を表して、「Rabbit!」と叫んだ。
Peteがニコリとした。

11/19武道館セットリストは以下のとおり(公式WEBサイトのものを若干補筆した)。

I Can’t Explain
(1965年のデビューシングルで、ここ10年ぐらいのライブではよくオープニングに使われている。何て息の長い曲なんだろう。バックスクリーンでの映像は若き日のThe Who。現在の彼らとの対比が感無量)
The Seeker
(もともとライブでは珍しい曲だけど、ここ数年復権した模様)
Anyway Anyhow Anywhere
(バックスクリーンの映像が60’s Swinging Londonという感じでナイス)
Fragments
Who are you
Behind Blue Eyes(珠玉の名曲だワーイ)

Relay
(70年代のテクノロジーを今のテクノロジーに置き換えて演奏しますとかどうとかそんな意味のことをPeteが言っていた(ように思う)
Sister Disco
Baba O’Riley
Eminence Front
5:15
(バックスクリーンではワーテルローからブライトン(多分)までの列車の運転席から撮影した映像が超早回しで上映された。この曲は終点の映像と曲の終了が一致していたから、その辺まで計算してプレイしていたようだ)

Love Reign O’er Me
(横浜アリーナと比べるとバックスクリーンの映像がしっかり編集されていた)
Won’t Get Fooled Again
(ヘンな後ノリのアクセントをつけていたけど、あれはいらないなぁ。横浜アリーナではエンディングにさらにエンディングをくっつけていたけど、武道館ではオリジナルどおりのエンディング)

My Generation
(Cry If You Want toのフレーズをふくむ。横浜アリーナでは曲中で”Janis Joplin、Jimi Hendrix”といった具合に”Same Generation”で物故したアーチストの名前をPeteが呟いたけど、その中にMitch Michellの名前を挙げていたのが印象的だった。MitchはThe Jimi Hendrix Experienceのドラマー。Jimi HendrixらはThe Whoと同じTrack Recordに所属していたし、音楽的に良きライバルでもあった(というよりは一時期Jimi Hendrixの存在をPeteは脅威と感じていた)。そのMitch Michellは11月12日、ツアー中のホテルの客室で遺体となって発見された。The Whoのメンバーはこの訃報を大阪で聞いたはずだ。
なお、MyGenerationは武道館では短いバージョンとなり、その代わりに次のNaked Eyeが追加された)
Naked Eye

アンコール
Pinball Wizard
Amazing Journey (Captain Walkerのフレーズをふくむ)
Sparks
See Me Feel Me(横アリより武道館の方が演奏が短かったような気がする)
Tea and Theatre(サポートメンバーが退場したあと、Peteのアコギ一本の演奏で、ステージに残った二人...生き残った二人....によって歌われた。「長い戦いを経て生き残った戦友たち」という雰囲気が印象的だった)

最後に....メンバーが去って会場が明るくなった後、機材を撤収していたローディーが、不要(?)になった色々なモノを、残った観客にバラまいてくれた。ローディの一人がピックをバラまいたのを見事キャッチ。

FernandesのRoger Daltreyモデルのギターピックだった。先っちょがわずかに磨り減っていた。

一生宝物にしよう。

P.S.なお
“Amazing Journey: The Story Of The Who”

という映画が日本でもあさってから公開される。すでに海外では昨年11月に公開され、DVDもリリースされているが、僕みたいに字幕がないとわからないような人間にとっちゃ見に行きたいところ。
だけど当面はムリだろうなぁ~。
映画公式サイト

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