短いトラック(曲)

(半日かかって作った仕事のデータが一瞬で吹き飛んだ腹いせにBlogを書きます。短い曲の長いレビュー)

今から9年前、このBlogで「史上最も短い曲」という記事を書いたことがある。
今読み返すとかなりアナログ的な見地から書いているけど、あれからiTunesが登場し、音楽データベース的な使い方ができるようになった今、改めて8万曲の中から短いトラック(曲)を紹介してみる。

注意しなきゃいけないのは「トラックタイム」は必ずしも「演奏時間」とは一致しないということ。アナログ盤では曲間の無音部分は演奏時間にカウントされなかったけど、CDでは前後数秒が演奏時間に加えられしまう。この中には実際の「演奏時間」が1秒にもかかわらず、前後に2秒の無音部分が加えられてトラックタイムが5秒になっているものもある。そのため実際の「演奏時間」も可能な限り併記してみる。

【トラックタイム2秒・演奏時間2秒】
「ドリフ大爆笑 オチのSE」(1976)
おっと、いきなりの反則。
10年ほど前、ガラケーのメール着信音に使えるかなと思って「ドリフの大爆笑」のコントのオチで流れる曲をビデオから編集してデジタルにしておいたもの。届いて欲しくない相手からのメールをこの着信音にしようと思っていたのですが、この音が流れるとかえってブルーな気分になるので、ほとんど使わないままにキャリアを転々とした挙句、今はiPodに入っている。具体的には「世の中から顧みられることの少なさそうな曲ばかりをセレクトしたコンピレーション」の一部として格納している。
さて、この曲、曲名やアーチスト名とかも不明。探してみたらここで聞けた。果たしてタイトルとかあるのだろうか?

【トラックタイム4秒・演奏時間4秒】
「Bag O’Nails」by The Who (1967) from “Thirty Years Of Maximum R&B”
1967年のこと。The Whoのピート・タウンゼントは、アルバムの曲間にコマーシャルソングと海賊放送局(Radio London)のジングルを入れることで「海賊放送」に対する偏愛をトータルコンセプトアルバムを作ることを思いついた。このアイデアをメンバーに伝えたところ、乗り気になったのが「ロック界最高のドラマー&変態」のキース・ムーンと、「最高のベーシスト兼ティム・バートン的音楽世界の元祖(デスボイスの元祖でもある)」だったジョン・エントゥィッスル。二人はどんどん(実在する商品の)コマーシャルソングを作ってはピートの元に持ってきた。レコーディングもされながらボツになった一曲がコレ。ロンドンに実在するミュージックパブ「バッグ・オネイルズ(Bag O’Nails)」を歌ったもの。ここは当時のスィンギング・ロンドンを彩るミュージシャンたちのたまり場で。キースもジョンもここの常連だったけど、有名なのは常連だったポール・マッカトニーがリンダと出会った場所だということ。
歌詞は「Loon at the Bag O’Nails」だけ。CDの対訳では「バグ・オネイズでハジけまくろう」となっているけど、キース・ムーンの綽名が「Moon The Loon (バカのムーン)」だったことを考えてもストレートに訳していいんじゃないかな(ただし英語はよくわかりません)。
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[The Who Sell Out裏ジャケ。キース(左)とジョン(右)]
そんな風に誕生した「The Who Sell Out」はポップ・アートを音楽で具現化した金字塔みたいな名盤だけど、ここにはボツになったコマーシャルやジングルが山ほど存在する。

【トラックタイム4秒・演奏時間0秒】
「There’s A Riot Goin’ On」by Sly & The Family Stone (1971) from “There’s A Riot Goin’ On”
実質的にこれが一番短い曲、ということになる。
スライの1971年アルバム「暴動」に収録されたタイトル曲。アナログ盤時代にはA面の最後に「収録」されており、演奏時間は「0:00」と表記されていた。
17年後になって、スライはこの曲がゼロ秒である理由このように述べている「I felt there should be no riots(私は暴動なんてない方がいいと思っていた)」。


(動画を作ってYoutubeにUPしてみました。音がないと著作権のクレームはつかない模様)

【トラックタイム4秒・演奏時間4秒】
「俺に言わせると」by ムッシュかまやつ (1968)
日活映画「スパイダースの大騒動(1968)」から、ムッシュかまやつのセリフ「俺に言わせりゃな~、いまの世の中すべてサイケデリックだぞ」を大昔にデジタルにしておいたもの。サンプリングして何かをしようと思ったんだと思う。こういう「わけのわからないもの」も大量にストックしての8万曲ではある。ちなみに1966年から始まったサイケデリックのブームは、海外では1967年がピークだったけど、日本では1968年がピークだった。林家三平の「Bachi Bachi」、ダーツ、ジャイアンツ、松平ケメ子の競作となった「ケメ子の唄」、ブルコメ「ラブ~ライト・ショウ」、タイガース「ジンジン・バンバン」、万里れい子「サイケな街」などなど、ここだけ語りだしたら、それはそれで止まらなくなりそうだ。

【トラックタイム4秒・演奏時間2秒】
「Ping」by m-flo (2008) from “Award SuperNova -Loves Best-”
管理人とm-flo(エム-フロウ)って、全然真逆で合わない気がするけど、たまにはそういうこともあったりする。たまたまTV(下町の路地に猫が佇んでいる絵だったと思う)でバックに流れていた曲が気に入って、アーチストはわかったけど曲名がわからなかった。たまたまベストアルバムが出たばかりだったので「多分入っているだろう」と思って買った。運よくm-flo loves YOSHIKA名義でリリースされた「Let Go」という曲だと判明した次第。
管理人はHip-Hop嫌いで社内では通っているらしいけれど、多分それは「オレオレ系自己主張型Hip-Hop」が嫌いなだけで、こういうサウンドを作りこんだスタイルは別に嫌いじゃない。そもそもm-floって本当にHip-Hopというジャンルなの?
かと言って当時、m-floを聞きまくるトコまで行かなかったのは、自分にとっての「軸足」じゃないから。
きっと「おしゃべりカーティス」である程度満足してしまったのかもしれない。
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「Ping」は「Let Go」のネクスト・トラックで、つなぎのトラック。Ping音の次に「Award SuperNova」とMCが入る。

【トラックタイム4秒・演奏時間4秒】
「Lucky」by Joni Mitchell (1979) from “Mingus”
間もなく亡くなってしまうだろうジャズ・ミュージシャン、その死を眼前に制作が進行した追悼アルバム。それがジョニ・ミッチェルの「ミンガス」だ。当初、ジョニはジャズ・ベーシストのチェールズ・ミンガスとのコラボでアルバムを制作しようと試みた。ミンガスが作った6曲の合間にジョニが詩を朗読するというものだったけど、ミンガスの体調悪化などでそれを断念、代わりにジャコ・パストリアス、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコックらとレコーディングを続けた….って言うか、それはそれで結構やりたかったんじゃないかと思う。生前のミンガスもその音を聞き続け、唯一彼が聞けなかったのは死後(1979年1月7日)二日後にレコーディングされた「God Must Be a Boogie Man」だけだったとジョニは回顧している。
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アルバムはその年の6月にリリースされたけど、ミンガスのカバー曲、作詞曲が収録されたほか、曲間には、生前に録音され奥さんから提供されたテープを元に、ミンガスのトーク(これが結構面白い)、ジョニとのアカペラによるデュエット(もちろんオーヴァー・ダビングしたもの)まで作り上げて収録した。「Lucky」もそんな一曲(?)で、ミンガス本人がこう語っている。「I was lucky man? God blessed me, you know! I was blessed by God!」

【トラックタイム4秒・演奏時間4秒】
「Mozart: Die Entführung Aus Dem Serail, K 384 – Act 1: Geschwind, Geschwind Auf Die Seite Und Versteckt!」
はぁ?….ドイツ語全然わかりましぇーん。オペラ「後宮からの誘拐」のセリフ。

【トラックタイム4秒・演奏時間4秒】
「Stotra」by Kula Shaker (1999) from “Peasants,Pigs & Astronauts”
CDショップにいた頃、そのインド趣味がなぜかオッサン(と言っても当時は30代半ばだった)のツボにハマった英国ロックバンドの2nd。サンクスリット語の「ストートラ」の意味がよくわからないんだけど、わからなくても生きて行くには問題なさそうだし、あまり深くは追及しない方が良いように思う。そうしないと哲学的に難しいことになっちゃうからね。だってここに流れるのは4秒間の静寂だから。
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さて、僕が生まれる前から我が家にはディズニーのレコードが一枚あって、このことは2年前に記事にしたことがある。意識的に聞いた洋楽の音では最も古いレコードなので、今でも大切に保管している。この中に「罠にかかったパパとママ(Let’s Get Together)」という3コードのロックン・ロールがある。これが意識的に聞いたという意味では僕にとって「最古のロック体験」になることは間違いない。これを歌っているヘイリー・ミルズがクリスピアン・ミルズのお母さんだと知った時には、廻り回ったその因縁に驚いたものだ。

【トラックタイム5秒・演奏時間4秒】
「緊急地震速報(のチャイム)」
3年前には散々聞かされた(今でもたまに聞く)あれ。
職場で僕のiPodをオーディオにつないでBGMにする場合がある。「絶対に全曲シャッフルにしないこと」と言っているのはこの曲が入っているからだ。流れただけでテロ行為だ。
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当時「歴史の中の音」だと思ってiPhone経由で録音した。もちろん「ポポポポーン」も録音した。
ちなみにこの私家版コンピレーションは2.26事件の「兵ニ告グ」から始まっているという物騒なシロモノだ。
この記事を書くにあたって再び聞いてみたけど、いまだに心臓によくない。

【トラックタイム5秒・演奏時間1.316秒】
「You Suffer」by Napalm Death (1987) from “Scum”
店長時代の1999年頃にアルバイトのI君から「ナパーム・デス、いいっすよ」と借りたのが「スカム」というアルバムだった。もう時効だから言うけどこの音楽データはメディアとPCを転々とした挙句、今はiPodにも収まっている。I君はハードコア&グランジ系やヒップホップに詳しくて、そっち系の知識では随分お世話になった。それが今じゃ一児のパパになって、ドラッグストアの店長をやっているんだから時の流れは早い。アルバムうんぬんの内容よりも、わずか34分のアルバムに28曲が入っているインパクトの方が印象に残っているけど、その最たるものがこの「You Suffer」。その演奏時間は何と1.316秒!
そして、この曲はシングルとしてもリリースされ、ギネスブックの「世界で一番短い曲」となり、「トリビアの泉」で紹介され…..
驚いたのは、今ではウィキ日本語版ほか9か国語で記事になっており、発売20周年記念としてビデオクリップまで制作されたということだ。

以上、管理人でした。

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