雪の第一只見川橋梁

柳津町で虚空蔵さんにお参りした後、国道252号線を只見川の上流へ12km入った三島町の「道の駅」へと向かう。柳津の旅館でみた只見川の鉄橋のポスターが美しかったからだ。

こういう時、自分は鉄道マニアではないから「雪景色の中の鉄橋」が撮れればいいなぐらいにしか思っていない。おそらく只見線なんて何時間かに一本しかないのだろう。この寒さの中で電車の通過まで待とうというガッツもない。

素晴らしい雪景色の中、道の駅に到着したのは14時ちょっと前だった。
駐車場に車を停めて一服しながらスマホで「第一只見川橋梁の撮影場所はどこなんだろう」と調べていると、目の前をかなり重装備の撮影機材と三脚を担いだ人たちが歩いてゆく。みると道の駅からいま来た道を戻る方向に橋があって、そこを渡って行くのが見えた。さらに見ていると橋の向こう側のトンネルポータルの横に山道があって、そちらへと昇って行く。

きっとこの人たち、撮影時間を把握しているのだろう。電車が来るタイミングに違いないと思った。

トイレから戻ってきた家内と娘に向かって「あの橋を渡った先と撮影できるみたいだよ、今プロっぽいカメラマンが進んで行ったから、もしかしたら電車が通過するのかもしれないよ、行ってみない?」と誘いながら、橋の方を指さした。

その途端、物凄い地吹雪が橋の上を通り抜けていった。
一瞬で橋の向こう側の視界が隠れ、その風は一分近く吹き荒れていた。

そもそも寒いのが苦手な家内と娘は「いや、絶対無理!道の駅で待ってる」と主張した。

内心「ああコイツら、一期一会の風景に出会えるかもしれないのに」と思ったけど、そもそも「一期一会」なんて「一人一期」なんだから、まあ仕方あるまい。自分だけあの橋を渡って撮影ポイントへ行ってみる事にした。

幸い地吹雪も途絶えたタイミングで橋を渡り、トンネルポータルの手前から丸太で整地してある山道を上ってゆく。山道の手前に案内板があって、ビューポイントは3か所あるらしい。どうも先ほどの人たちはもっと高所のビューポイントへ行ったようだけど、自分にはそんな気合はないから近場で済ませる事にする。

山道(階段)を駆け上るとホンの1分足らずでビューポイントAに到着。
誰も来ていないようだ。まずはカメラで全体の風景を撮影した。

只見川第一橋梁
2018年12月30日12時56分16秒撮影

かじかむ手で望遠レンズへと交換し、ビデオカメラを木製の手すりを三脚がわりに設置した。ところが手すりの上部が凍結していて滑りやすく、そのままカメラを置いても鉄橋を視界に入れるのは難しい。さてどうしよう。

そうしていると左側の方から電車の警笛らしきものが聞こえた。これは通過してしまった電車なのか。これから鉄橋を通過する電車なのかが気になる。

ここでビューポイントの背後に貼ってある時刻表を注視する。そこには橋の通過時刻が「13:03」と書いてあった。今が13:59ぐらいだからあと4分ぐらいで来ることになる。しかも前の通過時刻は午前9時台だったらしい。
こいつはラッキーだ。

そうしているウチに、もう一人立派なカメラを抱えてこのポイントにやってきた。どうみても僕のカメラより気合が入っているではないか。

自分はそれほど気合のあるカメラを持っているわけではないし、鉄道マニアというわけでもない。ビューポイントの角にあたる一番よい場所を陣取っているように思えたので「場所代わりましょうか?」と尋ねてみたら、「あっ、大丈夫ですよ」との事だった。

その方と短い会話をしているウチに「あっ、もう来ますよ」と言われたのでカメラを構えた。

木製の手すりにビデオカメラを置いて、左手で角度をつけながらホールドする。そして右手で望遠カメラを構えるとすぐに電車が左から登場した。

自分は電車そのものを撮る強い気持ちはなかった。あくまで雪の風景の中に鉄橋があって、たまたま電車が通っているという所を狙ってみた。引け気味に撮影したのはそのためだ。

実際には7枚の写真を撮影した。片手で何度もシャッターを押しているウチに、橋が絵の中心から左にずれてきてしまっているのはご愛敬だ。

車に戻りながら思った。
この一年、決して自分にとって幸運な年だったとは思わない。
だけど、最後の最後になって”幸運にも”「4時間ぶりに雪の第一只見川橋梁を電車が通過する風景」を、8分程度の待ち時間で撮影できたことになる。

そもそも幸運って何だ?って話になってしまうけど、よくよく考えると今年は良いこともなかったけど、鬼のように悪いこともなかったからこそ、こうやってのほほんと旅に出て美味しいコーヒーを飲み、こうして雪景色を撮ることができたのだろう。そう、今年も運よく生き延びる事ができたわけだ。

そんなわけで、一年間この辺境Blogをお読み下さりありがとうございました。また来年も「上大岡的音楽生活」をよろしくお願いいたします。


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