Typhoon Shelter (Theatre Brook Live at “晴れたら空に豆まいて”)

まさに台風20号が接近する中、Theatre Brookのファンクラブイベント”Brooker’s Night”に行ってきた。
場所は代官山の「晴れたら空に豆まいて」。そう、彼らの作品風に言えば、僕にとってここが今日の「Typhoon Shelter」のようだ。

現地でマサトシさんと合流。今回はTheatreのライブ初体験のマコトもいる。最近精力的に新しい音楽を知ろうとしている彼だけど、今日は凄い刺激になることだろう。
まずは、現地のカフェでマサトシさんつながりのTheatreファンの方々とお話する。共有できる音楽があると、他にも似た音楽を共有するものらしく、たちまち打ち解けて会話もはずむ。

そして18時からはじまったステージは23時まで続いた。細かいセットリストはマサトシさんにお任せするとして、僕なりのThetre Brook観を書いてみる。

世の中には「ライブバンド」というのがある。
ターンテーブル上で回転する一曲5分のCDやレコードより、ライブでの演奏がはるかにその魅力を知ることができるようなバンドだ。こういうバンドは気の毒なことにその実力がCDのセールスになかなか繋がらないという一面がある。僕が好きなThe Whoがまさにそれだった。彼らのライブ・サウンドは1960~70年代当時のスタジオ・レコーディング・テクノロジーではとうてい再現できるものではなかった。近年になってようやく来日したものの、日本ではその演奏を体感することは不可能で、これが永年にわたって彼らが日本で不当に差別されてきた理由だった。

Theatre Brook然り。彼らの真の魅力はライブサウンドにあることは間違いない。その魅力を、一言で言えば「重砲弾」ってことになる。重みのあるガッシリとしたサウンドでありながら、グイグイと疾走してゆく。野性的なダイナミックさがありながら、一方で細かくうねるようなGroove感がある。とりわけこのGroove感は彼ら独特のもので、そう簡単に他のバンドが真似できるものではないだろう。佐藤タイジのギターは基本がFunky-Soul。でもPink FloydのDavid Gilmour風なディレイはもちろんのこと、時にはVelvet UndergroundのLou Reedのようなギター・リフを奏でる。沼澤尚は日本の人気ドラマー投票で常に1位を獲得するカリスマドラマー。笑いながら1時間でも2時間でもドラムを叩き続ける人は珍しい。「ハイハットの叩き方が絶妙」とはマサトシさんの言、あわせて言えば、バスドラの蹴りかたもフツーじゃないことに気づいた。この二人にJohn Entwhistleを彷彿させる中條卓のベースと「オイシイキャラ」のエマーソン北村の手堅いキーボードが絡んでゆく。

そしてCDでは5分足らずの曲ががインプヴィゼーションによって10分にも20分にもなってゆく。それは今風のこじんまりと綺麗にまとまったサウンドではなくて、60年代後半~70年代のライブサウンドそのものだ。僕はすべてのバンドを知っているわけではないが、それでもわかる。ライブというものの本来持つ醍醐味を楽しむならば、間違いなく日本で最高ランクのライブバンドだろう。

それを真近で見れる共有感には、何ともいえぬ特権意識を自分に感じずにはいられない。「こんな凄い演奏を間近楽しめるなんて、俺は何てラッキーなんだ」というヤツだ。The Whoが火曜日のレギュラーバンドとしてロンドンのライブハウス”Marquee”でやっていた時代(1964年)、そこにいたオーディエンスが持っていた感覚に近いんじゃないだろうか。それに近い「特権意識」を感じたくて僕は彼らのライブに行っていると言っても過言ではない。Theatreを知らない人だってそうだ。別に彼らの音楽を知っていたって知っていなくたっていいんだ。そんなことは関係ない。その演奏そのものに、恐ろしいほどの説得力があるのだから。音楽を生で楽しむのに事前の知識などいらないといういい例だ。

この日のライブの佐藤タイジのMCを整理すると、こうなる。
「これ(Theatreのライブ・サウンド)を”当たり前のこと”だと思ってくれたら困る。これはスペシャルな音だ。俺たちは最高のロックンロールバンドだって、胸を張って誰にでも主張できる。でもCDは売れないんだよね.....でもそれはIt’s Not My Responsibility(俺たちの責任じゃない)」。

最後に....
Thetreのギグは12月27日のリキッド・ルーム恵比寿が年内最終。残念ながら僕は一族郎党で新潟にスキーに行くことがほぼ決まりかけており行けない。しかし、昨日の佐藤タイジのアナウンスによれば、これを最後に2009年の冬まで一切ライブ活動を休止するとのこと。なんとこれを逃したら1年以上(いや、2年か)彼らのライブが見れないというわけ。
もし観たい人は(横浜南校身内の場合なんですけどね)、今すぐマサトシさんにご連絡を。

コメント

  1. マサトシ より:

    土曜日はお疲れさまでした。
    外の悪天候もなんのその、いつもながら、いや、いつも以上の素晴らしい演奏を堪能できましたよね。
    マコトくんにも楽しんで頂けたと勝手に解釈しています。
    活動休止は私にとって確かにショックです。いつも書くライブレポートも手に付かない状態でした。

    しかし、少し時間が経って考え方を変えてみました。
    今までたくさん素晴らしいライブを俺はこの目で見て、この耳で聴いて、全身に感じたではないかと。
    地方に住んでいてライブになかなか行けない人に比べたら遥かに恵まれた環境にあったではないかと。

    だから今しばらく待ちましょう。また、数段上に昇った彼らになって帰ってくることを望みながら…。

    でも、これ以上ってあるのか?とも思うほどの完成されたバンドだと思いますけどね(笑)

  2. spiduction66 より:

    >マサトシさん
    お疲れ様でした!
    なんだかんだでこの日は疲れ気味だったのですが、演奏に入ったらブッ飛びました。やはり僕は天性の音楽バカと思われます。
    実はこの日「58」でTheatreファンの方をお話していた時に、「なぜTheatreのライブに来るのか?という質問を受けてこう答えていました。「こんな最強ライブ、今は見れるからいいけど、いつ何時見れなくなるかもしれない。だから”今見なきゃもったいない”っていう気持ちから来てますよ」。と答えたばかりでした。
    ヘンな意味で当たってしまいました。
    でも充電期間を越えれば新たな展開、新たなパワーアップがあると思います。それにお互い期待をしましょう。

    入れ違いの情報ですが。僕の愛してやまないThe Whoの3年ぶり2度目の来日がいよいよ実現にむけて動き出したようです。なんとも不思議な気分です。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください