バンド顛末記

ボーカル教室のオーナーなんていうと、長髪に皮ジャンで、ギターなんかギュルワーンとVan Helen並みの早弾き、ピアノなんかはピロポロピーンと鮮やかなコードプレイ(しかもJazzコード)e.t.c…..というイメージがあるが、それが大間違いなことは、皆さんもご存知の通りだ。

ナベツネにジャイアンツのサードを守らせるバカはいない。
「じゃあ自分をナベツネと思っているんですか?」という嫌な質問はミンチにするとして、今回のバンド結成について書いてみる。

コトのきっかけは、haruさんの一言だった。
「ムネさん、先生たちでバンドやりませんか?」
どうも彼女、最近ドラムを遊びで叩いてみたらしいんだけど、なかなか気に入ったようで、本格的にステージで叩いてみたいらしい。

これがまた、絶妙なタイミングだった。

僕は23年間ご無沙汰していたバンド活動を再開したくて、ちょうど近隣に打診していたトコロだった。どころがどっこい、勤務時間が違う、技量の差(むろん、僕の技量がないんです)、「こりゃ無理かな」なんて思っていたトコだった。
ちぃちゃんはちぃちゃんで、ボーカルやっていたバンドは解散状態。いっぽう、スタッフにいそべっちが加わったことで、バンドとしての員数は揃っている。まさに絶妙なタイミングだった。

しかもだよ....他のメンバーが女性ばかり(しかも美女)のバンドなんて、人生でそうできるモンじゃない。ムッシュかまやつは”Callas”という自分以外全員女性のバンドを作ったことがあるけどね。コイツはやるしかないと思った。一生の運を使い果たすつもりだ....あっ、使い果たしたらバンド解散しちゃうじゃないか。

LiveのMCでharuさんも言っていたが、誰が何の楽器をやるかは民主的かつ平和裏に決まった。だけどバンドサウンド全体を監修できる人、音楽監督みたいな人、アンサンブルを支えてくれる人が必要だった。

こういうときはキタさんに限る。

キタさんは現在やっている音楽からは想像がつかないが、元々はヘヴィ・メタルのバンドにいた人だ。「悪魔の伝道師」の異名をほしいままに、ステージでキティちゃんのヌイグルミを生贄に黒ミサの聖餐会をやっていたというウワサもある位だ。キタさんにお願いしたら、ひとつ返事で引き受けてくれた。

お次は何の曲をやるのかを決めなければならない。
Stevie Wonderの「迷信(1972)」をやろうという恐ろしい案もあったのだけど、
「初心者バンドでもとっつきやすくて、ボーカルパートが全員分あって」みたいな理由から、The Bandの”The Weight“をやることにした。1968年にリリースされた作品で、今なお多くのアーチストにカバーされている曲だ。”Rollingstone Magazine”の”500 Greatest Songs of All Time”では41位に選ばれている。
これには2バージョンある、1968年にシングルとしてリリースされたオリジナルバージョンよりも1977年のライブ映画”The Last Waltz“バージョン(Staple Singersが参加しているバージョン)で演奏することにした。The BandのメンバーとStaple Singersが交代でボーカルをかけもちしているのがよかった。

練習場所は教室と鎌倉街道&京急ガードをはさんでおむかいの「スタジオ24」。第一回の練習は、キタさんは不在。
とりあえずボーカル抜きの練習だったけど、ここで内心驚いたのは「音ができている」ということだった。初心者バンドにありがちな「途中で演奏がストップ」もなかった。初心者レベルとは思えないほど、ガチっと音がまとまっている....これに驚いた。haruさんのドラムなんか最初からThe BandのドラマーであるLevon Helm特有の「ドテッ」とした重い感じが出ている。やっぱりみんな、つくづく音楽が好きな人たちなんだなぁ~と強く感じた。haruさんが後でこのときの録音をキタさんに聞かせたら、キタさんも驚いていたという。

二回目からはキタさんが加わってボーカルも加えた練習。
アンプの微妙な設定やサウンドのバランスのチェックしてもらいながら、演奏開始!
キタさんが耳コピでRobbie Robertsonのギターによるイントロを仕上げてきてくれた。それが鳴り出すと「うおっ」と皆感動する。誰が何番のボーカルを歌うか、サビのコーラスをどうするか、エンディングをどうするかなんてことも決めてゆく。
エンディングのドラムの叩きかたをどうするか?なんて話になったら、キタさんがサッとドラムキットに座って「こう叩いてみたら?」なんて、実演してくれた。凄いな、この人。普段とは立場が逆なのも面白い。
僕自身は輪唱になるコーラスのタイミングを掴みかねて苦労したけど、それとなくメンバーたちがフォローしてくれるのが嬉しかった。面白いのはこの段階でメンバーたちがスタジオ・バージョン(1968年)のオイシイトコロと、”Last Waltz”バージョン(1977年)のオイシイトコロを上手にミックスさせた音を出していることで、この辺りに彼女たちの音楽センスの良さが出ているなぁ~と感心した。
面白いのはちぃちゃんだった。「ベースを弾きながらは歌えないですよ~」と先週ぐらいには言っていたのだけど、その間のキタさんのアドバイスが功を奏して、アッサリと歌えるようになっていた。
いそべっちはセッションのたびにピアノのアドリブのバリエーションが増えており、これも面白いところだった。

三回目は発表会の前日。
発表会の前日なんてさぞかし忙しいと思いきや、実は全員でコンナトコロに篭っていた。この時になると、彼女たちはボーカルはもちろんのこと、演奏にまで自分の色みたいなモノを出していると感じた。キタさんが演奏が終わるたびに「全然OKですね、これは」と言うと盛り上がる。とにかくこの日の練習は回数をこなすものとなった。
練習の帰りがけ、「この次は何やろうか」なんて話まで出ていた。

そして本番。これは皆さんが観たとおり。

いろんなことを学んだなぁ~。とにかく感無量です。
スタッフが一丸となって一曲を仕上げたこと、普段教える立場にいる者が初心に戻れたこと、昨年12月の実質スタッフ2人という予想だにしない状況からこの1年で4名というバンド体制まで凌駕できたこと......様々な想いが頭の中をよぎった。

最強の彼女たちに拍手!
あとキタさんに感謝!

コメント

  1. ちゃっきい より:

    先生バンド、サイコーでした。
    歌以外にもあんな特技があるなんて!!
    そして、キタさん。
    まさに司令塔でした。
    今度はもっと激しいのが聞きたい・・・
    そして、キタさんのソロ、
    「お好きなだけどーぞ」のコーナーも見たいなぁ。

    みなさん忙しいのに良くやるよぉ!
    悔しいなぁ~。
    そんな仲良しな南校が大好きです。
    オーナー、独身じゃないのが残念ですね(笑)

  2. spiduction66 より:

    >ちゃっきぃさん
    忙しい中、みんなよく頑張ったと思います。
    そして、もはやキタさんは外せません。
    次回はリッチー・ブラックモア並みのソロをやってもらいましょう。
    それと....独身じゅないから「無害」という位置づけのようです。
    結婚していてもエロカッコいいマサトシさんとは雲泥の差ですな(笑)

  3. せいぼう より:

    先生全員がそれぞれ忙しい中、その忙しい4人がバンドを組むなんて・・・
    演奏を聞いて、「どこがどう」と言えるものではなく心と体で感じる感動がありました♪
    本当に素敵でした!
    何でも完璧にこなしてしまう先生方が羨ましい。

  4. spiduction66 より:

    >せいぼう
    「心と体で感じる感動」
    それはとても嬉しい言葉です!
    そして僕たちもまた皆さんのステージにそれを感じていましたよ。真剣であるから出てくる何ともいえない空気があの空間には漂っていました。

    完璧な人間なんていないけど、
    誰もが何かを満たそう満たそうと思ってます。
    それは自分の心だったり、人の心だったり、お腹だったり....
    それがとてもいい形で出るのがああいう場所だと思います。

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